鹿児島県でさつまいもやじゃがいもを作っています。
基腐病の被害が増えてきているので、今後はしばらくじゃがいもに力を入れようと考えているところです。
栽培しているのは「ニシユタカ」や「メークイン」ですが、育てているニシユタカの糖度があまり高くないのが不満です。
できればメークインの糖度も少しでも高くしたいとも考えています。
農家仲間から聞いたのですが、北海道では石が多い畑でじゃがいもを作ると甘くなるそうですね。石が熱を蓄えることでじゃがいもが熟してデンプンが作られやすくなるんだとか……。
それを聞いて思い切って玉石を買ってきて試してみようかとも思ったりもしていますが、やはり北海道と鹿児島では気候もまったく異なりますし、玉石でいいのかもわかりません。
石を使う方法も本当なのか気になるところですが、糖度の高いじゃがいもを作る方法をぜひとも知りたいです。
(鹿児島県・前田さん/仮名・30代)
山川 理
山川アグリコンサルツ代表、農学博士
環境に合わせた形でじゃがいもの力を引き出す栽培をされてはいかがですか?
ご相談者さんがおっしゃっている「 糖度の高いじゃがいも」という表現は少し変ですね。
「デンプンの含有率が高い」の誤りではないでしょうか?
そもそもじゃがいもの発生地はアンデスの山奥です。冷涼で乾燥した環境を好みます。
なぜ北海道のじゃがいもが美味しいかというと、夏の気温が低く、梅雨もなく、アンデス地方の気候に似ている環境で1年かけてゆっくりと栽培することができるからです。
そして寒くなるとショ糖(砂糖の主成分)が増えて甘さが増していきます。
北海道以南では、梅雨が始まる暑くなる前までの栽培が限度です(梅雨ごろから病気や害虫が多発するため)。
これでは栽培期間が北海道の半分しかありません。だから北海道のじゃがいもに比べると小さく、デンプンが低くて、水っぽくなりがちなのです。
北海道並みのじゃがいもを栽培したいならば、標高1500メートル級の山で、畑を探すしか方法がないでしょう。
ご相談者さんは鹿児島県のようですね。そうなると高山で栽培する畑を見つけるというのも難しいかと思います。
鹿児島は赤土じゃがいもが有名ですが、暖かい気候を活用した早掘りなど地域や環境に合わせた形で、じゃがいもの力を引き出す栽培をされるのがいいのではないでしょうか?
櫻井杏子
株式会社INGEN 代表取締役
じゃがいもは品種により糖度アップに限度があります
残念ながら私も畑に石を入れることでデンプンが作られやすくなるという話は聞いたことがありません。
もしかすると石灰と聞き間違えたのでは?とも思います。
最近ではやりすぎなほどに石灰をやる傾向がありますから。お力になれず大変申し訳ありませんが、聞いたことがないので、本当かどうかは何とも答えづらいです。
また、じゃがいもは品種により糖度アップには限界があります。工夫次第で限りなく甘みが増すわけではありません。