北海道でじゃがいもを育てている農家です。脱サラ後、新規就労して5年。収量もやっと安定してきたところです。
そこで、次のステップとして、農地を広げようと知人が売りに出している土地の購入を予定しています。
しかし、先日現地を見に行ったところ、かなり粘土質が強い土壌だということがわかりました。
イモ類はあまり粘土質な土に向いていないと聞きますが、他の作物を植えたほうが良いでしょうか?
ちなみに、気候は寒暖差があってじゃがいも栽培には向いている場所だと思います。
この土地でじゃがいも栽培が可能かどうかアドバイスをいただけると嬉しいです。もし、他の作物を植えたほうがよい場合は、どんな作物がよいでしょうか?
(北海道・石田隆志さん/仮名・40代)
蛇岩真一
株式会社AGRIER・中小企業診断士
じゃがいもの栽培は不可能ではないが、費用や時間はかかります
私は北海道の上富良野町で、農業ベンチャー企業の支援をしながら、にんにくを中心に、アスパラガス、スウィートコーンなどを生産しているアグリエの蛇岩です。
同じ北海道ということで、編集部からこちらの相談が寄せられましたが、相談者さんが購入予定の土地は、かなり粘土質な土壌なので、じゃがいも以外の作物を検討されているのですね。
圃場に暗渠や明渠などを作ることで水はけが改良できれば、じゃがいもの栽培ができないとは言い切れませんが、一方で、排水改善や土壌改良には費用も時間もかかります。
粘土質でも比較的育ちやすい作物という点では、大豆や玉ねぎ、私が作っているにんにくなどがあると思いますので、作業ピークの重なりや販売先も合わせて検討すると良いのではないでしょうか。
じゃがいも農家さんということなので、購入予定の農地はかなり広いイメージを持ちました。JAさんに出荷するのが前提であれば、大豆や玉ねぎなどの定番の野菜に絞られてくるのではないかと思います。
相談者さんの実際の畑の面積や状態、販売先、お手持ちの農機具・施設などを想像することが難しいため、参考までに、私が関わっている「やさいバス北海道」で知り得た小売店と消費者ニーズの観点からお答えします。
「やさいバス北海道」とは、購入希望者の注文を受けると、生産者がバス停に出荷し、それをやさいバスで配送するサービスで、百貨店やスーパー、コンビニエンスストア、レストランチェーンなどに販売しています。
小売店などの販売先では、果菜類を除くと、定番の玉ねぎ、人参、じゃがいもの他に、カラフルなニンジン、流通量が少ない品種のかぼちゃ、赤大根、スティックブロッコリーなど、ちょっと珍しい野菜に人気があります。
どちらかというと多品種栽培をしている生産者からの出荷が多いのですが、もし多品種栽培や新たな品種等にチャレンジしてみたいのであれば一考の余地はあるのではないかと思います。