都市部出身で、繁華街の飲食店で店長をしていました。コロナの影響もあり、かねてから興味があった野菜作りにチャレンジしようと、2年前から現在住む地域に通いながら準備し、昨年思いきって一人で移住・就農しました。
行政の制度や地域の親切な先輩農家に恵まれ、農家を楽しんでいます。
育てている品種はケール、ビーツ、スティックセニョール、チコリなど。まだ市場では珍しい野菜を中心に、50種類ほどを少量生産しています。
現在は直売所に出荷したり、知人に販売したりしています。前職の人脈を活用して、今後は飲食店にも積極的に拡販していく予定です。
来期はジャガイモを作りたいので、いくつかの品種をテスト栽培してみる予定ですが、ジャガイモは初めてで、どの品種にするべきか迷っています。
特に色付きに興味があるのですが、先輩から「色付きの品種は育てにくいらしい」と言われました。
ただ、それも先輩本人の体験談ではないので、真偽は不明です。
そこで、色付きのジャガイモで、育てやすい品種があれば知りたいです。農薬や肥料はなるべく使わないで栽培したいと考えています。
(奈良県・手嶋優実さん/仮名・30代)
山川 理
山川アグリコンサルツ代表、農学博士
色とりどりのじゃがいもの品種が開発されていますが、特に栽培しにくいということはありません
ジャガイモの原産地はアンデス地方ですから、冷涼でやや乾燥した気候、水はけのよい土壌が好みです。
アンデスには昔から赤やオレンジ、紫など、いろいろな色のジャガイモが作られています。
日本では北海道が栽培に適しています。栽培できる期間も長いため、収量も本州に比べ倍くらいあります。
北海道農業研究センターではさまざまな品種を開発しています。
皮が赤くて肉色がピンク色の「ノーザンルビー」、皮も肉色も紫色の「キタムラサキ」、肉色が橙黄色の「インカのめざめ」、イモの目の周りがほのかに赤い「はるか」などです。
さらに2021年には、肉色が赤い「シャイニールビー」、肉色が紫色の「ノーブルシャドー」なども開発されました。
雨が多く暖かい本州では、梅雨時にカビや細菌類などが発生し、ジャガイモは生育がストップしてしまいます。
ナスやトマトなど、同じナス科の作物にも病気が感染するため、相性は最悪です。
私は夏にはナス、トマト、ビーマンなどのナス科野菜を栽培するので、梅雨時に病気の出やすいジャガイモはご法度で、作りません。必ず後で泣きを見ます。
ですので、無農薬の圃場でジャガイモを栽培したことはありません。
近年は日本でも色とりどりの品種が開発されていますが、従来の品種と比較して、特に栽培しにくいということはありません。
栽培のポイントは、病気のない健全な種芋を、半分に切って切口が乾燥してから定植すること。芽を2~3本に揃えて追肥をしながら2回ほど培土することです。
そうか病が出るので、土壌に石灰は施用しないでください。着色ジャガイモも、煮物とサラダ・コロッケ用に区分されます。それぞれ適した品種が異なるので、注意して下さい。
詳しくは農研機構のWebサイトを確認してみてください。