有機栽培で露地主体に野菜を多品目栽培しています。近くに酪農家がいるので、これまで牛糞堆肥を使い有機農業で野菜を作ってきました。
使い始めた頃に比べると畑の土の団粒化も進んでよい土になってきたと思っています。
ところが先日、土壌診断してみたら、カリウムとリン酸が過剰と判断されました。
確かに昨年あたりからトマトの尻腐れ病が目立っていましたが、カリウム過剰が原因とは思っていませんでした。
これまで植物性の有機物はあまり利用してこなかったので、これを機会に緑肥作物を活用しようと思っています。
緑肥作物を栽培することで、これらの余分な成分を吸収させることもできれば一石二鳥だと思っています。
どのような緑肥作物がおすすめでしょうか?
(栃木県・福田俊哉さん/仮名・40代)
和田美由紀
雪印種苗株式会社研究開発本部
カリウム吸収にはイネ科やマメ科緑肥を。リン酸については低減効果はあまり期待できません
過剰なカリウムを吸収するという点では、イネ科の緑肥もマメ科の緑肥もカリウムをわりと多く吸収します。
その吸収量を比較すると、緑肥作物の地上部のバイオマス乾物量に養分含有率を掛け合わせた分が吸収量になるので、地上部のバイオマス量が多いイネ科の緑肥の方が、マメ科よりもカリウムをよく吸収するということになります。
イネ科の緑肥作物で代表的なのはソルガムやスーダングラスです。そのほかトウモロコシなら、デントコーンでもスイートコーンでも多くのカリウムを吸収します。
一方、リン酸についてはどの作物も含有率が低いので、低減効果はあまり期待できません。
なお、過剰な養分を吸収させた緑肥作物は、地上部を刈り取って圃場の外に持ち出す必要があります。ただし、それはそれでかなりの労力を要します。
この際、圃場外からの持ち込みである堆肥の施用を止めて、緑肥のすき込みによって養分を循環させてみてはいかがでしょうか。