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リン酸肥料が高騰するのが心配。代替肥料はありますか?

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リン酸肥料が高騰するのが心配。代替肥料はありますか?

ウクライナとロシアの戦争の影響で、リン酸肥料の輸入量が減ったり、値上がりしたりしているという話を人づてに聞きました。

我が家はトマトやなすなどの果菜類を多く育てており、リン酸肥料の使用量は多い方です。

もし肥料が高騰しても、出荷価格を上げられるわけではないので、今から対策を打たなければと考えています。

そこで、リン酸肥料の代わりに使える代替肥料を教えていただきたいです。
(北海道・河内工さん/仮名・50代)

生田智昭

株式会社大地のいのち(サンビオティック)代表取締役

リン酸や加里を発酵させたボカシ肥料がおすすめです

コロナ禍やロシアとウクライナの戦争、そして円安の影響で、肥料の値上げが非常に激しくなっていることから、肥料コストをどう削減するかは、喫緊の経営課題になってきています。

化学肥料・ようりん(熔成りん肥)以外で、リン酸成分を多く含むものには、鶏糞堆肥や豚糞堆肥、バッドグアノ(自然発酵したコウモリの糞から作る)、骨粉、家畜糞焼却灰に草木灰などがあり、リン酸肥料の代用品として挙げられます。

しかし、私がここでお伝えしておきたいのは、リン酸という肥料成分は他の肥料成分と比べても非常に効率が悪いということです。

リン酸は、土壌中のアルミナ(酸化アルミニウム)、鉄、亜鉛などと結合しやすいことから、不溶化・難溶化しやすい性質で、施用量のおよそ10~25%しか植物に吸収されていないと言われています。

つまり、肥料代の削減を目指すなら「効率よく吸収される形態のリン酸」を施用することが重要です。

これは端的に言うと「発酵され、堆肥化された状態」で、堆肥またはボカシとして販売されているものがおすすめです。

発酵鶏糞や豚糞堆肥でも、十分な量のリン酸成分をまかなえると思います。

ただし、これらの堆肥の多くは、実際にはしっかりと発酵されていない場合があるため、使用する際はご自身で品質の改良作業が必要です。

例えば、再発酵させたり、屋根のある場所に半年~1年ほど静置したりすると良いでしょう。

そこまでの手間をかけられない場合は、土壌に混ぜ合わせてから1~2ヵ月間は、必ず分解期間をもうけて、その後に植付けするだけで、未熟堆肥の被害を抑制することができます。

また、ボカシはリン酸だけでなく窒素や加里(カリウム)、その他の成分も吸収しやすい状態になっており、少ない量で大きな効果を上げられるという点でもおすすめです。

弊社は、野菜や果樹の生産を行うなかで、農作物栽培に有用な微生物を使った有機肥料や、土壌改良剤の独自開発にこぎつけました。

なかでも、リン酸や加里を発酵させたボカシ肥料「鈴成(すずなり)」は、作ったらすぐに売れてしまうほど人気があります。

最後にもう一つ、粉末や粒状になっているリン酸肥料の活用方法もお伝えいたします。

蒸製骨粉や家畜糞焼却灰などは、化成肥料と同様にそのまま施肥すると肥料効果が低くなってしまいます。

肥料効果を高めるために、施肥前に一度発酵させてみてください。

例えば、米ぬかとそのようなリン酸肥料を1:1で混ぜて少しだけ水分を含ませておくと、自然と発酵し1ヵ月ほどでリン酸の肥効が高まると思います。

さまざまな工夫をしながら、肥料の高騰を乗り切っていきましょう。

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