複合肥料は高いですし、あまり満足できていないので、単肥を組み合わせてオリジナルの肥料を作ってみたいと考えています。
さらに、経験を蓄積し、ゆくゆくはオーダーメイドで複合肥料を売るような仕事ができたらいいな……などと妄想しています。
とはいえ、知識がほとんどないので、まずは安いチッ素肥料の硫安や尿素などを使って作ってみようと考えているところです。
しかし、そんな話を先輩にしてみたところ、混ぜる肥料によってはガスが出るから危険だと言われました。
たしかにアルカリ性の肥料と硫安を混ざるとアンモニアガスが発生してしまうようです。
さらに先輩からは、液肥を混合するのも止めた方がいいと言われました。そういった肥料を組み合わせる際の注意点、基本的な肥料同士の相性を教えてください。
(岡山県・原田さん/仮名・30代)
櫻井杏子
株式会社INGEN 代表取締役
オリジナルブレンドの配合は、栽培品目の特徴を意識するのが基本です
単肥を混ぜる場合、種類によってはとても危険な組み合わせがあります。必ず肥料袋裏面の使用方法を確認して利用してください。
オリジナルの肥料を作る場合に大切なことは、栽培品目の特徴を意識することです。
例えば根菜類やミニトマトのような長期収穫作物の場合は、土壌中で作物が根を伸ばしやすい環境を作ることや菌環境を整える肥料が必要です。
そこで細根から吸収されやすいアミノ酸が豊富な有機質の肥料や土壌改良材を主体として、足りない要素を単肥で補うようなオリジナルブレンドがおすすめです。
単肥で補う場合、補助的な利用がいいでしょう。
使いすぎると、土が締まって細根形成を妨げる原因になります。もちろん土壌分析によって自分の畑にどの要素が足りていないかを把握し、バランスのいい配合にすることも重要です。
オーダーメイドの肥料販売についてですが、まず製造の届け出が必要となります。
もし製造届や販売届のない方は、無料で提供することもNGです。最近ではフリマアプリでの出品が問題になりました。
仮にそういった部分をクリアしても、安定した肥料を提供しないとクレームにつながります。流通の問題もあります。個人事業でやられることは、あまりおすすめできません。
農林水産省 消費・安全局農産安全管理課
農林水産省 消費・安全局農産安全管理課
制度の見直しで肥料の可能性が拡大。しかし販売や譲渡には許可が必要
2020年12月1日に肥料制度が見直されました。
これによって国や都道府県に届出を行えば、化学肥料と堆肥などを配合したり、肥料と土壌改良剤を配合した肥料を生産できるようになりました。
これまで肥料取締法では、含有成分が安定していない「堆肥(一例として腐葉土や家畜の糞など)」と安定している「化学肥料」を配合することは原則として認められていませんでした。
そのため、農家はそれぞれを別個に散布していました。
しかし、法律改正によって同時に施肥できるようになりましたので、土づくりの効率化が図れるようになりました。
ほかにも堆肥活用の拡大、肥料のコストダウンなどのメリットが期待されています。
ただし、肥料を混ぜる組み合わせ方によっては品質低下やアンモニアガスの発生などの問題があります。
安全性については、肥料のパッケージの品質や効果に関する表示を確認してください。もちろん「●●と混ぜて使わないように」などの注意書きも明記されております。