広島県で、かぼちゃ、なす、ミニトマト、ブロッコリーなどの野菜を栽培しています。
年間を通じて温暖で晴天も多いことから、バナナの栽培も始めました。
気候に恵まれる一方で、地盤が浅いためか、根腐れのリスクが大きいように感じています。
急場しのぎとして、インターネットで酸度計を買い、土壌の酸度を測っています。
酸度計があれば土壌のpH値や水分量を計測できるのですが、今回購入したものは安い酸度計なので、ph値を厳密に計測し、維持管理することは難しいかなと思っています。
バナナを2年目に根腐れさせてしまい、悔しい思いをしました。
適切に土壌管理をするための機器やいい方法を教えていただきたいです。
(広島県・和田司さん/仮名・56歳)
青木泰士
株式会社ATAGO 営業部、野菜ソムリエ
安価なpH計でも問題ありません。長年使用するなら耐久性のあるものを
pH計は以下の3種に分類されます。
まずは「試験紙」で1,000~2,000円と手頃ですが、色味から判断するため、「6寄りの5?」「大体7くらい」など、測定値が大雑把になります。
続いて「デジタル式」は、海外製の安価なもので3,000~4,000円程度。小数点まで表示されますが、消耗品として扱うケースが多いようです。
最後に、国内製のpH計は、2~3万円の「ATAGO製PAL-pH」などです。数値が正確で長持ちするのが特徴です。
質問者さんのケースはpH5.5~6.5と管理幅が広いので、ネット購入できる比較的安価なpH計でも問題ないでしょう。しかし、長年使用するなら「PAL-pH」のように丈夫で割れにくく内部駅も消耗がないものを推奨します。
大崎秀樹
ちたフルーツビレッジ/萬秀フルーツ
果樹畑を移動するのが理想。バナナ栽培では水田転換園や粘土質土壌は避けましょう
果樹栽培は畑の選択で品質の半分以上が決まります。バナナも例外ではないので、本音では畑の移動、つまり温室の移設をおすすめしたいところです。
畑選択の目安は過去に果樹栽培を長期間していた跡地などが良いです。バナナでは、水田転換園や粘土質土壌は避けましょう。
見分け方として、50cmほどの穴を掘り、半日後に水が溜まっているような土地はおすすめできません。
また、近くの河川や池より低い位置や、山際で地下水が豊富に出るところも避けましょう。
こうした土壌しかないなら、コストと手間はかかりますが心土破砕(固い土壌に切り込みを入れ、通気性や透水性を良くするため水が通る道をつけること。)や大規模な暗渠排水の設置も一案です。
土壌の酸性度は、pH5.5~6.5に収まっていればpH等の定点管理は無意味です。年1度土壌分析をし、検査結果に応じて適切な土壌改良剤を投入しましょう。
これらが難しい場合は、温室の周囲に深い溝を掘り排水路を造ったり、高畝で栽培し灌水量を少な目で管理したりすると良いでしょう。
果樹といってもバナナは木でなく草なので、すべて抜いても1年で復帰しますから抜本的な対策をおすすめします。