熊本県でトマト栽培をしています。
農業を始めて10年以上経ち、これまでにミニトマトから有機トマトまで、いろいろな種類を栽培してきましたが、やはり売れるトマト作りには「美味しさをどうアピールするか」がポイントだという結論にたどりつきました。
トマトの場合は「美味しさ=甘さ」です。
今は、「桃太郎」をはじめとする品種を中心に作っていますが、さらに付加価値をつけるため、数年前から糖度計でトマトの糖度を計測してから出荷しています。
その甲斐あってか、地元のお客さんにも「美味しさが数値で見えて買いやすい」とお声をいただき、売り上げが安定するようになりました。
糖度がわかっていれば「今日のトマトは生がおすすめ」とか「スープに最適」などと、売り方も工夫できるようになります。
現在使用している糖度計は、トマトの果汁を機械につけて計測するタイプで、もう5年ほど使っています。
古くなってきたのでそろそろ買い替えを検討していますが、おすすめの機械はありますか?
最近だとトマトを潰さなくても糖度が測れるタイプがあると聞きました。
精度とコストのバランスがいい糖度計があったら教えていただきたいです。
(熊本県・宝田まほさん/仮名・40代)
北川清生
北川トマト
糖度計を活用して、トマトの糖度を目利きできるようになればベストです
トマトの糖度は、糖度計がすべてではありません。私は三重県多気町で、自分で発酵肥料を作ってトマトを栽培していますが、今では、トマトをみたらどれくらいの糖度か見当がつくようになりました。
それは糖度計ではなく、経験のおかげです。収穫期に甘そうなトマトを採って、食べて確かめ、8度以上だと目利きしたトマトにフルーツトマトのシールを貼って販売しています。
判断に悩む場合は糖度計を使いますが、お客さんからクレームが来たことはありません。
自分の舌と目利きで糖度が分かるようになると、トマトのことがより一層好きになると思います。
野菜作りは経験が大事です。糖度計を上手く活用して、是非ご自身の経験を深めてください。
おいしいトマトは、ヘタの部分が黒みがかった赤色になります。よく観察して、トマトの特徴を捉えましょう。ちなみに、私が使用している糖度計はATAGO社製のものです。
青木泰士
株式会社ATAGO 営業部、野菜ソムリエ
トマト農家さん向けの糖度計を紹介します。用途や計測対象に適したものを選びましょう
弊社は糖度計国内シェアNo.1の実績を誇るメーカーです。糖度計は、ひとつ購入すれば何でも計測できるわけではなく、用途や計測対象に合ったものを選んで使うことが大切。
トマト農家さま向けのおすすめ糖度計をいくつかご紹介いたしますので、是非参考になさってください。
前提として、糖度計は大きく分けて3種類があります。
ひとつめはアナログ屈折計。1~2滴の少ない試料液で測定できるため、水分の少ない作物におすすめです。電池が不要で、比較的安価なものが多いこともポイントです。
ふたつめはデジタル屈折計。持ち運びやすさが特徴で、試料液は2〜3滴です。デジタルで表示してくれるため、数値の読みやすさがポイントです。
みっつめは非破壊糖度計。果実の表面に当てるだけで糖度が計測できる最新タイプです。試料液が不要で作物を傷つけないため、収穫前の作物を測定してそのまま出荷することができます。
最近では形やシステムなど、多様な商品が販売されていますので、是非ご自身に合うものを見つけて頂ければと思います。今回は自社商品から4種をご紹介いたします。
野菜や果物を測定する一般的なタイプでおすすめなのは「MASTERシリーズ」です。覗くタイプの糖度計で、糖度0~33%まで測定可能な「MASTER-α」が特に人気の種類となっています。
同じく一般的なタイプで、現在国内で最も使用されているのは「PAL-1」です。測定値は小数点1桁まで表示可能で、防水仕様で丸洗いできるのもポイントです。iPhoneアプリと連携したモデルもありますよ。
非破壊タイプのおすすめは「トマト用 PAL-光センサー53 甘酸っぱい味覚セット」と「ミニ、ミディトマト用 PAL-光センサー3 MINi 甘酸っぱい味覚セット」の2種類です。
非破壊式は果汁を絞るタイプよりも誤差が大きいため、セットで購入頂き、場面によって使い分けることを推奨しています。
商品はWebサイトでご紹介していますが、お悩みの際はどうぞお気軽にご相談ください。