京都に地域おこし協力隊として赴任した者です。これから狩猟をメインに活動したいと考えています。
すでに罠の狩猟免許は取得しており、猟期に猟をした経験は十分にあります。
今後は獣害駆除のために、猟期外の狩猟も行っていきたいのですが、「猟友会に入らなければ害獣駆除は行えない」と言われてしまいました。
「猟友会に入りたくない」というわけではないのですが、「猟友会には鉄砲を持っていなければ入ることができない」と門前払いされてしまったのです。
猟銃を持とうかと考えましたが、狩猟免許は銃で行うか罠で行うかで免許が異なりますし、銃のメンテナンスにかかる費用も高いので、躊躇しています。
猟銃を購入しなくても害獣駆除に参加する方法はないのでしょうか?
(京都府・鈴原さん/仮名・30代)
山本麻希
株式会社うぃるこ/長岡技術科学大学准教授
市町村の許可があれば捕獲することができます
狩猟期以外に鳥獣被害が発生した場合、有害鳥獣捕獲許可を市町村に発行してもらうことで、対象となる鳥獣を捕獲することが可能です。
この有害鳥獣駆除許可を誰に出すかは、市町村の判断となります。
猟友会員以外の人でも有害鳥獣捕獲許可を出すことは可能です。しかし、多くの市町村では、有害鳥獣駆除を行うのは猟友会員であるケースが多いです。
その理由のひとつは、加入している保険の問題があります。
有害捕獲に携わる場合に、猟友会のメンバーはハンター保険に入っているので、有害鳥獣駆除の活動でも保険が適用されますが、猟友会員に入っていないと保険がきちんと適用されない可能性があります。
そのため、行政担当者がハンター保険に入っている猟友会員になっていることを条件に、有害鳥獣捕獲活動に携わることを許可しているケースもあります。
もちろん、民間の損害保険で罠保険に個人で入ればそのような問題もなくなるので、もし猟友会のハンター保険に入らずに有害捕獲の活動をする場合は、民間の保険に入ってから従事することが必要だと思います。
ふたつめの理由としては、有害鳥獣駆除を実施隊員だけに許可している場合があります。
捕獲の報奨金などが国の農水省の総合対策交付金で賄われている場合、市町村の鳥獣被害防止対策実施隊になっていると定額で補助されますが、実施隊員以外だと補助率は2分の1となります。
実施隊員は、市町村の非常勤公務員の扱いとなり、多くの場合、市町村の有害鳥獣駆除活動を担っています。
補助金の関係から、国の予算を使用する場合、実施隊員にならないと有害鳥獣駆除活動に参加できないというケースはあります。
実施隊員は、猟友会員でなくてもなることができますが、猟友会員もしくは、選抜された猟友会のメンバーが担うケースが多いです。
このような場合、猟友会員でないと実施隊員になれないので、有害鳥獣駆除に従事者として携われないというケースがあります。
実際は、実施隊員には農家や行政担当者、地域おこし協力隊などがなることも可能です。
実施隊員に猟友会以外の人を含めるかどうかは、市町村の判断になります。
ただ、今回のケースの場合、銃を所持しないと猟友会に参加できないというのは、その地域の猟友会の独自ルールであると考えられます。
なぜなら、近年は、銃を所持していない罠免許保持者は急増しており、そのような人でも猟友会に入り、罠で有害鳥獣捕獲に従事しているケースは、他の地域でも一般に見受けられるからです。
まずは、罠免許のみで猟友会に入ることはできないか、市町村にも一緒に相談に乗ってもらい、地域の猟友会の会長さんと話してみてはどうかと思います。
もし、罠免許のみでは猟友会に入れなかった場合は、民間の保険に加入したうえで、市町村に有害鳥獣の許可を下ろしてもらえるか?
あるいは、猟友会のメンバーでなくても実施隊として任命してもらえるかどうかを市町村担当者に掛け合ってみるのも手かもしれません。