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2022.08.05

農福連携を検討中。稲作で知的障がい者にどの程度の作業を任せていいのでしょうか?

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農福連携を検討中。稲作で知的障がい者にどの程度の作業を任せていいのでしょうか?

稲作専業の農業法人(6名、うち新規就農研修生1名)で働いています。

現在、地元の役所や社会福祉協議会さんから福祉連携を持ちかけられており、知的障がい者の雇用を検討しているところです。

これまで農作業体験として受け入れた経験はありますが、苗への水やりや米袋へのラベル張りなどルーティンワークには対応できても、水の管理や農機具の操作は難しいのではないかと感じています。

しかし、畦や土手の草刈りは機械の操作法や注意点を丁寧に教えてあげると、ある程度できた方もいました。

同じことを繰り返すルーティンワークや補助的な仕事だけではなく、できればある程度の判断を伴う仕事も少しずつ任せるようにしたいと考えています。

稲作でどの程度の作業まで任せて良いのでしょうか?
(長野県・矢崎郁夫さん/仮名・40代)

COMMENT

伊藤文弥

NPO法人つくばアグリチャレンジ代表理事

どんな仕事を楽しいと思うかは人それぞれです。適性や能力を見極めて判断を!

障がいのある人たちにどうやって仕事場を作っていくかという点をメインに考えた場合、米づくりは多くの作業が機械化され、たくさんの人が働くような仕事ではないため、障がいのある人たちがやれる作業が少ないのが現実です。

現在、農福連携の事業は福祉施設が取り組んでいるケースが多く、福祉施設にとっては年間の労働作業量がある程度一定している方が理想的です。

その点では、米づくりは年間の仕事量にバラツキがあるので、野菜づくりや養鶏などに比べると、農福連携で米づくりを行うのはかなり難しいといってよいでしょう。

米づくり中心の農業現場において、障がい者雇用の事例はほとんどないと思われます。

ただし、相談者の農業法人(従業員6人)のような大規模な生産組織であれば、作業は田植えや稲刈り、草刈りだけにとどまらず、農閑期であっても米袋にシールを貼る出荷作業など、年間を通じてさまざまな作業があるため、農福連携の可能性があるのではないでしょうか。

「障がい者雇用」と一言でいっても、障がいのある人の特性や程度は人によって異なるため、「この人はこの作業ができるが、あの人は違う作業が向いている」とパターンもさまざま。

これは、障がいがない健常者であっても同じことで、得意不得意な分野は各自でまったく異なります。

まずは「どうして判断力の伴う仕事を任せたいのか?」という問題に立ち返って考えてみるとよいでしょう。僕の想像する範囲では2つの理由が挙げられます。

1つ目の理由として、判断力が伴う仕事を任せた方が障がいのある人自身も楽しいだろうと雇用者側が考えているのではないでしょうか。

この点に関していうと、本人がその方が楽しいと思うかどうかについては、必ずしもそう思うとは限りません。

毎日、決まったルーティンワークをこなすことが楽しいと思う人もいますし、判断力を伴う仕事を任せられたことによって、プレッシャーに感じたり、その結果ミスが増えたりすると、逆に楽しめなくなってしまったというケースもあります。

ですから、たとえ「判断力の伴わないルーティンワーク」であっても、障がいのある人が「楽しめない」ということはありません。

2つ目に、判断力が伴う仕事を任せていかないと障がいのある人に回す仕事が少ないということも考えられます。

この点については、障がいのある人に回せる作業がない時は、1日3、4時間の短時間でも十分だと思っています。障がいがある人たちが必ずしも8時間働きたいと考えているわけではないので、臨機応変に対応することが求められます。

僕は必ずしも「判断力の伴う仕事」を任せなくてもいいのではないかと思います。ただ、障がいのある人にも、機械操作が得意な人もいますし、実際に「ごきげんファーム」で働いている人にもトラクター操作をする人もいます。

それは障がい特性だけではなく、「(作業が)好き嫌い」も含めて、いろいろな要素が関係しています。

「あの人なら機械操作ができるのではないか?」と見えても、実は苦手だとか嫌いだという人も多いので、事業主が、障がいのある人たち一人一人の能力を見極めて採用を進めるのは非常に難しいことです。

まずは判断力が伴わない仕事から任せて様子を見ながら、その人の適性や能力に合わせて作業内容を検討するのがいいのではないでしょうか?

ただし、障がい者雇用に際して、判断力を伴う仕事を任せたいと考えている理由が、僕があげた2つの理由ではない場合には、「ジョブコーチ(職場適応援助者)」をつけることをお勧めします。

ジョブコーチは障がい者雇用を進めていく上で、会社と障がい者本人の間に立って就業の定着を支援してくれる役割を果たしてくれます。

ジョブコーチには地域障がい者職業センターに配置される「配置型ジョブコーチ」と、社会福祉法人が雇用する「訪問型ジョブコーチ」、障がい者を雇用する企業に雇用される「企業在籍型ジョブコーチ」がいます。

障がい者に対しては、職場の従業員との関わり方や効率のよい作業の進め方などのアドバイスを行ってくれ、事業主に対しては、障がい者本人が力を発揮しやすい作業の提案や、障がい特性を踏まえた仕事の教え方などをアドバイスしてくれます。

同じ米づくりでも、職場環境や一緒に働いている人たちとの人間関係など、さまざまな要素によって障がいのある人たちの働き方は変わってきます。

そのため、ジョブコーチに現地を見ていただき、相談しながら、障がいのある人たちの業務を切り分けていくのがよいと思います。

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