神奈川で採藻やわかめ養殖、刺網で生計を立てています。
私の友人に千葉県のいすみ市で、冬場にタコつぼ漁をやっている漁師がいます。
いすみ市ではマダコを使ったタコ飯がだいぶ評判を呼んでいるそうなので、私の地元でもタコつぼ漁にチャレンジできないかなと思っています。
調べてみたら、神奈川でも横須賀市や三浦市あたりは伝統的にタコつぼ漁が行われているようです。
千葉の友人からはタコつぼ漁を行うには県の許可がいると言われましたが、私が聞くところでは神奈川県ではタコつぼ漁に許可は必要ないという漁師仲間がいます。
「えっそうなの?」と思いましたが、県によって許可の制度は違うものなのですか?
許可を取らずにタコつぼを仕掛けてもよいのでしょうか?
(神奈川県・宮崎さん/仮名・40代)
馬場 治
東京海洋大学名誉教授
許可が必要かどうかは都道府県で異なります。自由漁業で捕獲できるのは共同漁業権外のみ
漁業には許可漁業と自由漁業というものがあります。許可漁業は国や県の許可が必要な漁業、自由漁業は何の許可も必要ない漁業です。
タコつぼ漁は千葉県では県の許可が必要な漁業となっていますが、神奈川県では許可の必要ない自由漁業となっています。
このように、県の許可が必要か不要かは県によって異なります。こうした制度を規定しているのは各都道府県の「漁業調整規則」という規則です。
これは、インターネットで検索すれば簡単に見ることができますので、それによって許可が必要かどうかを確認できます。
ただし、神奈川県の方であっても、自由漁業だからと誰もがタコつぼ漁をできるわけではありません。
漁業者でなければ、タコつぼ漁具を使用することはできません。これも同じく漁業調整規則によって決められていることですが、タコつぼ漁具は漁業者であれば(すなわち漁船登録した船であれば)許可なく使用できますが、漁業者以外には使用が認められていない漁具とされているのです。
また、許可なくタコつぼ漁ができるのは、漁協が免許を与えられている一定区域の共同漁業権以外の場所です。
共同漁業権内でタコを捕獲するためには、当該漁協の組合員である必要があります。たとえ漁船乗組員であっても、漁協の組合員となっていなければ、共同漁業権内ではタコを捕獲することはできません。もし捕獲した場合には密漁となります。
以上についてまとめると、神奈川県の漁業者である質問者が、漁船登録した漁船を使用して共同漁業権外で、タコつぼ漁をすることは問題ありません。
ただし、共同漁業権内でタコを捕るためには、その場所の共同漁業権の免許を保有する漁協の組合員である必要があります。