九州で漁業を営む40代です。これまでは、親の背中を見て育ち、伝統的な漁法を行ってきました。
しかし最近、水揚げ量や収入が減ってきていることが気になります。
環境に左右されるのでしょうがないことですが、将来を見据えると、これ以上続けられないのではないかと考えてしまいます。
温暖な土地柄、養殖が盛んな地域も近くにあり、今後は魚を育てる養殖や畜養の漁業ができないかと考えています。
もちろん、漁協や漁師仲間とトラブルになることは避けたいですが、いずれは自分の特色を出して他の養殖者者と差別化した魚を育てたいです。
できればひとりで挑戦したいのですが、それは難しいでしょうか?同じような考えの漁師と情報交換をしたり、成功事例を聞きたいです。
(長崎県・原田さん/仮名・45歳)
麓 貴光
株式会社水土舎 代表取締役
養殖種や畜養方法の検討からスタート!水産業普及指導員にも頼りましょう
獲るだけの漁業ということですが、詳細がわからないため一般論としてお話しします。養殖には魚類を中心とした餌をやる「給餌(きゅうじ)養殖」と、二枚貝類や藻類など餌をやらずに育てる「無給餌養殖」があります。
いま、漁獲物を活かすことができる漁法で操業されているなら、いけすで一時的に活かして出荷時期を調整する、またはエサを与えて大きくしてから出荷する畜養(捕らえた魚をいけすで大きくしてから出荷する養殖)も可能かもしれません。
いずれにしても、ご自身が操業されている海域の環境条件や、漁業の特徴などで、対象の種や方法が変わってきます。養殖種(養殖する種類)や蓄養方法などを考えるところからスタートしましょう。
どのような技術が必要か、具体的に検討することも欠かせませんが、まずはビジネスの大枠と、事業として採算が取れるのかを考えなければなりません。これを、ビジネス用語では「事業化可能性検討=フィージビリティ・スタディ」と言います。
月並みではありますが、地域の水産業普及指導員に相談して、最新の情報を聞くことが一番の近道だと思います。普及指導員は技術的な知識だけでなく、幅広いネットワークを持っています。
公的な機関・団体だけでなく、民間事業者のサービスや知識のあるコンサルタントの紹介もしてくれるはずです。相談しやすい距離にいますし、相談すれば動いてくれます。こうした人たちを積極的に有効活用しましょう。