トマトをハウス栽培しています。毎年、秋冬に牛糞と豚糞を近隣の酪農農家さんから仕入れ、撒いてもらっています。
しかし最近、酪農農家さんが代替わりをして、堆肥の質も落ちてしまいました。時には堆肥に雑草の種子が混入していることもあります。
雑草の種が混入していると、雑草が発生するだけでなく、病害の原因にもなります。
酪農農家さんから堆肥を購入するのをやめて、ほかの資材に変えようと考えていたところ、「ペレット堆肥」というものがあることを知りました。
堆肥を圧縮してペレット状にしたもので、ブロードキャスターなどでも撒きやすいと聞きました。
ペレット堆肥を使うにあたって、普通の堆肥と用法や用量は異なるのでしょうか?
(京都府・近本さん/仮名・40代)
農林水産省 農産局 農政政策部 農業環境対策課 土壌環境保全班
農林水産省 農産局 農政政策部 農業環境対策課 土壌環境保全班
堆肥より運搬性に優れているうえ、ブロードキャスターなどを使って均一散布が可能です
堆肥を使った土づくりは、土壌の物理性・化学性・生物性の改善につながるだけでなく、生産性の向上や安定化、そして土壌が本来持っている環境保全機能を保つうえでも不可欠です。
しかし、周囲に畜産農家が少ないエリアでは入手が難しく、運搬コストや専用の散布機械も必要です。
そこで最近注目されているのが、ペレット堆肥です。
ペレット堆肥は大きく分けて「取り扱い面」と「品質面」でメリットがあります。
取扱いについては、堆肥に比べて、運搬性に優れているため、広域流通が期待できます。
また、堆肥散布に必要なマニュアスプレッダーが無くても、ブロードキャスターやライムソワーなどの粒状肥料施肥機で均一に散布できます。
品質面については、粉砕して不純物をふるい分けしたのち加工するため成分が均質となり、また、乾燥させているので長持ちします。
ご相談内容の用法・用量についてですが、現在さまざまなメーカーがペレット堆肥を取り扱っていますが、商品によっては、100%堆肥成分のものや、混合堆肥複合肥料又は指定混合肥料といって、化成肥料を一部組み合わせたものもございます。
そのため使用量については、メーカーの指定する目安量を参考にしつつ、肥料の過剰施用とならないよう成分量を確認しながら適正施用をお願いします。
なお、野菜や果樹など、品目によって適正量は異なりますので、地域の栽培暦や施肥基準もご確認ください。
また、一般的に、ペレット堆肥は成型するために水分含量を約15%程度まで落とす必要があるため、通常の家畜排せつ物由来堆肥と比べて同じ重量でも有機物は多く施用されます。
同じ感覚で施肥するとリン酸等の成分が過剰になる可能性もあるので、そこは注意してください。
参考までに農水省がまとめたペレット堆肥の活用事例に関する資料を添付します。