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樹齢20年の梨を栽培。白紋羽病が発生して収量が半減…。どうしたらいい?

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樹齢20年の梨を栽培。白紋羽病が発生して収量が半減…。どうしたらいい?

旬の野菜をメインに果樹も生産している農家です。果樹は小規模ですが、梨の幸水と豊水を栽培しています。

梨は樹齢20年以上の木が多く、対策をしているものの、白紋羽病になってしまう木が増えてきています。

本来であれば改植をしたほうが良いのでしょうが、そうなるとしばらく収穫は見込めないと思うので、金銭的にダメージが大きくなるのではないかと心配しています。

しかし、収量は最盛期に比べると、半減してしまいました。

抜本的に対策するためには、どうすればいいのでしょうか?
(神奈川県・太田さん/仮名・60代)

前田隆昭

南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授

梨の収量は25~30年でピークに。適正着果に努め、計画的な改植を進めましょう

白紋羽病の病原菌(Rosellinia necatrix)は、多くの果樹類と樹木の根や地際部に寄生し、被害を及ぼします。

白紋羽病は、被害を受けた植物の根で形成された菌が、土壌中に長期間残り、伝染源となります。また、収穫後に圃場に残った残渣(ざんさ)に病原菌が付着していた場合も原因になります。

ご質問によると、梨の収量が全盛期の半分に減少したとのことですね。樹勢も低下していることが考えられます。そのような状態であれば、圃場に粗大有機物(堆肥の主な原料となりうるもの)を投入し続けると、有機物などを栄養源として病原菌はますます増えていきます。

病原菌は、白色の菌糸束が地際部(株元の地面)に広がった後に、症状が樹体全体へと広がっていきます。地上部は、感染しても軽症であれば異常は見当たりません。また、感染してもすぐには病気が広がりません。

しかし症状が地上部に広がっていくと、樹勢低下、落葉、枝枯れなどが起こり、最後は樹体の枯死へとつながります。樹勢が低下すると、病徴は急激に進行します。

以下に対策法を挙げてみます。

まずは今後、苗木を定植される場合、罹病していない健康な苗木を植えることです。そして発病が疑われる場合は、株元を堀上げて早期に発見し、早期に治療を始めることです。

落葉後の休眠期に病気にかかった部分は削り取って、「トップジンMペースト(チオファネートメチル)」を塗布して下さい。または「トップジンM水和剤」か、「ベンレート水和剤(ベノミル)」を樹体に散布するか、または「フジワン粒剤(イソプロチオラン)」を土壌施用して下さい。

さらに、病気にかかっている粗大有機物は施用しないようにしてください。菌は有機物を栄養源として増殖するので、樹体に発病が疑われる際は粗大有機物を投入しないことです。また梨は着果量が多いと、樹勢が低下し発病を助長するので適正着果に努めましょう。

最後になりますが、ご相談者さんの梨の樹齢は20年生以上とのことですが、梨は一般的に25~30年で収量がピークとなり、その後、収量が減少していきます。この点を考慮し、今後の梨栽培を行っていただければと思います。

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