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梨の赤星病を初期段階で防止するには、どう対策すればいい?

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梨の赤星病を初期段階で防止するには、どう対策すればいい?

空いている圃場の片隅で、梨の栽培を始めて3年になります。

昨年、その梨に病気が出てしまいました。

隣の農家さんから「これは赤星病じゃないかな?」と言われたのですが、今後の発生を防ぐため、注意していきたいです。

初期段階で赤星病を防止する方法や、診断方法を教えてください。

李 哲揆

データサイエンティスト

梨の赤星病は4~6月に発生しやすい病害で、薬品による防除が効果的です

梨が発病する赤星病とは


ナシ赤星病は梨の栽培にとって深刻な病気です。早期発見と適切な対策が被害拡大を防ぎます。

ナシ赤星病はカビによって起こる病気です。

初期には、展開したばかりの梨の葉に小さな黄色の斑点が出ます。

その後、感染が拡大すると斑点の周辺が紅色に変色し、裏面には白いカビのようなものが生えます。

進行すると葉が黄色く枯れ落ち、果実に斑点が生じる場合もあります。

主な発生時期は4~6月ですが、7月以降になると病斑部分が腐り、落葉してしまう病気です。

樹勢の低下や、果実の生育不良のもとになるので、早期の対策が重要となります。


診断方法


ナシ赤星病は特徴的なので目視で診断できます。

上述のとおり、ナシ赤星病は、まず展開したばかりの葉から出始めます。

明るい黄色の小斑点が出てきて、症状が進むにつれ拡大していき病斑の色も濃くなります。

5〜6月頃に病斑の裏側に毛状の器官が形成されると間違いなくナシ赤星病です。

4~6月の暖かくなった時期に、葉の状態をチェックして、明るい黄色の病斑が出ていたら感染を疑いましょう。


赤星病の発生原因


赤星病は、Gymnosporangium asiaticum Miyabe ex Yamadaというカビによる病気で、このカビは梨だけで生活することができず、胞子が異なる2つの植物種間をを移動しながら成長、繁殖します。

したがって、他の病気にように梨の葉から葉へ伝染することはなく、春から初夏にかけて年1回発生するだけです。

発生しやすい条件


梨が赤星病に感染しやすい条件は、次の通りです。

・梨の木の周囲約2、3kmにビャクシン類がある場所
・発芽後5月上旬までの降雨が多い


周囲2、3kmの範囲に、ビャクシン類がある場所での栽培は、赤星病に感染しやすいです。

また、春までの降雨が多いと、ビャクシン類からの胞子が形成されやすく、風を伴う降雨によって感染しやすくなります。

栽培環境や、春前の降雨量、風の影響が感染を助長させる原因になりやすいです。


赤星病の対策方法


対策として最も効果的なのが、ビャクシン類が近くにある地域での栽培を避けるという方法です。

また、密集した枝葉を整理して、風通しの良い環境を整えておくことも重要です。

どうしてもビャクシン類近くでの栽培をしなければならない場合は、胞子が飛散する4月上旬ごろから1ヶ月の間に2、3回実施しましょう。

「オーソサイド水和剤80」などの薬剤が効果的です。

葉裏までしっかりと薬液が付着するよう、十分な量の薬剤を降雨の前か降雨の後に散布することが重要となります。

仮に、赤星病の感染をさせてしまった場合は、病気になった葉を早急に取り除き、ほ場外で適切に処分しておきましょう。

このお悩みの監修者

李 哲揆

データサイエンティスト

名古屋大学大学院生命農学研究科にて博士(農学)を取得。東北大学、東京大学、理化学研究所などを経て、2018年からは東京農工大学生物応用システム科学府にて助教を務める。主な研究テーマは土壌微生物を用いた環境に優しい農法の開発。2021年4月から民間企業でデータサイエンティストとして働く。

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