島根県で花卉栽培をしている農家です。栽培面積は約200アールで、カーネーションを中心に20品目程度を育てています。
花の収穫や植え付け、草取りなどの作業は、10名弱のパートさんにやってもらっているのですが、たまにパートさんのグループから孤立して辞めてしまう人がいるのが気になっています。
パートさんが辞めてしまうと、新たに人を確保するために費用がかかり、さらに、作業をイチから教えなければいけません。
辞める人を少なくするためにも、スタッフ同士がもっと農作業中にコミュニケーションをとってくれれば、孤立する人も少なくなると思うのですが…。
パートさんが辞めるのを防ぐために、どうコミュニケーションを取ればいいのでしょうか?
(島根県・稲田義文さん/仮名・40代)
生田智昭
株式会社大地のいのち(サンビオティック)代表取締役
業務の中で社員同士が自然とコミュニケーションを促す仕組みを整えてみては
長崎県西海市でみかんやサツマイモ、玉ねぎなどの野菜を生産・卸をしながら、食品加工や農業資材の販売や生産組合の管理を行っている「大地のいのち」の代表を務めております。
社員を総勢60人ほど雇用しておりまして、弊社の社員同士のコミュニケーションを促す方法について、ご参考になるか分かりませんが、私自身の考えを述べたいと思います。
日々の業務を遂行し昨日よりも今日、今日よりも明日、少しでも経営が進歩していくためには、社員同士のコミュニケーションの量と質が決定的に求められると思います。
コミュニケーションが不足すると、注文に適切に応えられなかったり、商品の品質低下やミスによってクレームが発生したりする事態となります。
また、新しい商品や技術を開発するどころか、現在の生産技術を若い人や新しい人に伝えていくことすら困難になると思います。
コミュニケーションが不足すると、仕事そのものが面白くなくなってくると思います(まれに逆の人もいますが笑)。
ですから、組織運営の中でコミュニケーションの促進と言うのは、とても重要なテーマだと私も思います。
弊社では、コミュニケーションを促進するためのひとつの方法として、「5S活動」というのを行っています。
ご存じの通り、「整理、整頓、清掃、清潔、しつけ」を組織全体として推進することを5S活動と言いますが、たとえば、商品の置き場所や表示の仕方をみんなで話し合うこと、掃除道具やごみの管理についてどうすべきかをアイデアを出し合って話し合うことは、業務に関係することでもありますし、意外に個人個人の価値観が表れてくるところだと思います。
掃除当番は、できれば2人以上で同じ場所をすることで、自然と同じ仕事をしながら雑談をするようになると思います。
そのような時間を毎日15分設定しています。掃除の時間は雑談OKということで、掃除の出来栄えについてはあまり目くじらを立てないようにしています。
また、1人あたり数千円はかかりますが、先日は近くのテーマパークにみんなで行っておいで、と言ってチームごとにミニ社員旅行に行かせてあげたりしました。
昔は忘年会や暑気払いなどの飲み会で、コミュニケーションの時間を作るような環境がありましたが、いまはコロナ禍でそのような時間もめっきり減りました。
また、特に若い人は積極的に年配者とコミュニケーションを取りに行こうとする人が少なくなっていると感じています。
何かみんなで食べに行ったり、遊びに行ったり、または他の農場を見学に行ったりと、共通の体験や話題をあえて提供することも必要かなと感じているこの頃です。
最終的には、「仕事を通して毎日、充実して楽しい時間を過ごそうよ」という気持ちで経営者も従業員に接し、その気持ちが組織全体に広がることが大切なのかもしれませんね。難しい問題ですが、共に頑張っていきましょう。