私は千葉県のトマト農家で、30代の後継ぎ息子です。
最近は、獲れたトマトを直売所へ出荷する以外に、地元のスーパーや飲食店とも取り引きしています。
特に、直売所ではよく売れているので、もっとお客さんにアピールしなければと、トマトを使ったレシピカードやPOPを自作したり、包装や詰め方を工夫して、見栄えをよくする方法を考えつきました。
また、さらに思いついたが、野菜を包装する袋です。
イラストやロゴなどをプリントするのはどうでしょうか。
できるなら、自分で撮った写真入りの袋を自作できれば面白いのではないかと考えています。
QRコードを付け、生産者の情報やレシピ情報がスマホで読み込めるといった機能も付けてみたいです。
専門業者に頼めば簡単だと思いますが、年賀状を作る時に使っているインクジェットプリンターで印刷できる袋があるとうれしいです。
(千葉県・山口さん/仮名・34歳)
本多英二
aula brand design(アウラブランドデザイン)
ラベル用紙にプリントし貼ればOK。派手なパッケージよりおいしさを追求しましょう
技術的な面から申し上げると、OPP袋に直接印刷するのは、一般的な家庭用プリンターでは難しいでしょう。そのため、ラベル用紙にプリントし、それを袋に貼り付けるのが一般的です。
ただ、課題はこれらの技術面やハード面ではなくソフト面、つまりラベルで表現する「内容とクオリティー」だと思います。イラストや写真入りだと、すでに似たようなラベルが多くありませんか?それでは差別化の決定打とはなりません。
私は、これまでいいものを作っているのに報われない人をたくさん見てきました。逆に、それほどおいしくもないものが売れている現実もあります。それは、パッケージに凝って、販促活動を強化し、実力以上のものに見せることでヒットする確率も上がるというわけです。
表現内容はともかく、悲しいかな「売れているものが良いもの」と消費者には判断されてしまいます。注意すべきは、このアピールの度合いを読み違えないことで、多く語れば良いというわけではありません。
あまりに過剰な演出に対し、消費者は「それほどおいしくないのでは?」と本能的に判断する可能性もあります。質問者さんの商品はトマトなので「あなたのトマトがおいしい理由」「損はさせないという自信」をうまく伝えられれば及第点です。何はともあれ、実際においしいことが大前提です。
地域の直売所やスーパーには、どんな人が、何を求めてやってくるのでしょうか。それは「近くに住んでいる地元の人」や「欲しいものを買うために遠くから来た人」であり、新鮮なものやお買い得品、毎日使うもの、珍しい品を求めているはずです。オシャレなパッケージを求めているわけではありません。
これらの商品は「今、畑から採ってきました!」感が肝心で、オシャレなパッケージを求めているわけではありません。この機会に「お客さんは何を求めてお越しになるのか」を再確認しておけば、今後のブランド作りの指針になるかと思います。