約1反ほどの面積の畑に3棟のハウスを建て角オクラを生産していましたが、一昨年から、うち1棟で丸オクラも育てるようになりました。
しかしこの丸オクラの施肥量がなかなか掴みきれず、悩んでいます。
肥料が多すぎると過繁茂になり花が落ちますし、肥料切れをおこすと曲がり果になってしまい、安定した収量を維持するのが難しいように感じています。
施肥管理のコツがあれば、教えていただきたいです。丸オクラの品種はエメラルドです。
冬はそら豆を栽培していますが、オクラ栽培時には、事前に牛糞堆肥やわらを投入して耕起し、尿素を追肥しています。土壌分析は特に行っていません。
(鹿児島県・坂戸衛さん/仮名・30代)
鈴木光一
鈴木農場・伊東種苗店
肥料に敏感な丸オクラ。できるだけ少ない施肥量からスタートしましょう
前提として、丸オクラは大変デリケートな品種であることを理解ください。
丸オクラは角オクラに比べ肥料に敏感で、相談者さまがお悩みの通り、通常の角オクラと同量に肥料を与えれば、葉が大きくなってしまい実をつけないこともよくあります。
品種によっては最初に少しでも肥料を与えると木が暴れてしまい、全く実がつかないものもあるほど。丸オクラで無肥料栽培が多いのはこうした背景があるからです。
私自身、角オクラを栽培したあとに丸オクラを同じところで栽培することがそもそも好ましくないと考えます。
人間心理として同じような施肥方法になりやすく、失敗に繋がりやすいためです。
ですから丸オクラの栽培を始めるときは、角オクラと畑を変えるか、同じ畑であれば角オクラと丸オクラで明らかに施肥方法を変えなければなりません。
では丸オクラの施肥方法について、具体的に説明します。
まず肥料は、角オクラの半分以下の元肥でスタートしましょう。そして葉っぱや木の様子をみながら、約10日おきの頻度で少量ずつ何度も追肥します。
通常の角オクラは追肥を含め10アールあたりトータルで20〜25kgほど(うち元肥に10〜15kgほど)の窒素成分を使用しますが、丸オクラはその半分以下と考えてください。
肥料は後から足すことはできても、引くことはできません。最初は肥料はできるだけ少なく、追肥でコントロールすることが丸オクラの原則です。
また相談者さんは尿素を使用しているとのことですが、基本は3要素が入った化成系の肥料、窒素リン酸カリウムが入ったものがよいと思います。
そして肥料と同じくらい水管理も重要です。乾燥が続くとオクラの実に異常が出始めるため、乾燥が続くときはマルチの中に潅水チューブを入れて冠水しましょう。
一方、雨が多い時は排水が良くなるよう畑の改善が必要です。