鹿児島で50年近くオクラ栽培をしており、地域で農業をしている若い農家への指導にも携わっています。
オクラは成長が早いので、収穫の季節にはとにかくこまめに収穫しなければいけません。収穫が遅れるとすぐにさやが固くなり、品質が悪くなってしまいます。
うちの地域にはハウス栽培と露地栽培の両方の畑があり、収穫時期はハウス栽培では4月から7月、露地栽培では6月から秋ごろと、どちらも1年で暑い時期に収穫作業に追われます。
うちの地域では、暑さを避けるために夜明け前の午前2時頃からヘッドライトを付けて収穫している農家が多くなってきています。
熱中症対策のためにも涼しい時間帯に収穫するのは仕方ないと思います。ですが、夜明けまでに作業を終えなければいけないのは大変です。何か早く終えられる方法はないでしょうか?
(鹿児島県・川原茂さん・仮名/60代)
澤山岩重
オクラ農家
オクラの収穫作業は、ゴムと軍手の二重手袋や2回収穫などを工夫してみてください
私はオクラ栽培が盛んな鹿児島県指宿市でオクラ栽培をしています。
質問をしてくださった方も同じ鹿児島県ですね。熱中症にならないよう、日が昇る前に夜中の2~3時ぐらいから収穫をする農家さんはこちらでも少なくありません。
オクラは夏の作物ですが、暑い鹿児島では早い年で4月ぐらいから日中30度を超える日もあります。そうすると、収穫と出荷で忙しい日々がはじまります。
オクラは気温が上がるごとにグングン成長します。9~10センチメートルのときに収穫するのがベストですが、一晩で12~13センチメートルになってしまうこともあるのです。
朝に見逃し採り逃すと硬いB品となり、値段が安くなってしまいます。
特に熱帯夜のときなどは、朝収穫しても夕方になると「あれ、寝過ごしたかな?」「収穫するべきサイズなのに見逃したかな」と思うほど大きくなったオクラを見つけることもあります。
私は真夜中ではなく夜明け前の時間に収穫を始め、日が昇る前に1日1回の収穫を終わらせますが、収穫期は本当に多忙で、なかには1日2回収穫する人もいるようです。
収穫ロボット開発などの取り組みもあるそうですが、収穫タイミングを見極め、傷がつかないように配慮できるという点で、今はまだ人の手のほうに利点があります。
ただし、オクラはトゲが鋭いので指がダメージを受けやすいです。指紋がなくなる人もいます。ゴムの手袋をしてから軍手を重ねるなどがおすすめです。
こうした工夫をしながら収穫作業を頑張ってみてください。