昨年、新しい品種の「白なす」の栽培を始めました。
普通の紫色のナスよりも柔らかく、火を通すとトロトロになりとても美味しい品種です。
これは人気が出ると思いたくさん栽培したのですが、いざ直売所で販売するとまったく売れませんでした。
おいしい食べ方やおすすめのレシピの紙をパックに入れたり、1パック50円と破格の価格にしたりもしたのですが、それでも売れ行きは変わりません。
私達は2反(20a)ほどの土地で、親子2人、女手だけで多品目少量生産で営農している農家です。
大量生産できる農家さんと同じ品種だけで勝負するのは難しいですし、何より野菜のおいしさを伝えたいという気持ちが大きくあります。
新種のおいしさや素晴らしさを、消費者にどのように伝えたら購入してもらえるようになるか、アドバイスをいただけないでしょうか。
(愛知県・花田さん/仮名・40代)
本多英二
aula brand design(アウラブランドデザイン)
新品種のおいしさをPRするには、試食販売と魅力的なコピーが効果的です
景気の良い時は目新しいモノが歓迎されますが、不景気になると人は守りに入ります。
慣れ親しんだ見た目や安定した美味しさを求め、新商品には警戒感を抱きます。色彩心理的にも白=未熟という意識が働くため、この時代に白なすを販売するのは厳しい戦いかもしれませんね。
とはいえ、商品自体の美味しさはしっかりと実感されているようなので、工夫次第で購入率を上げることは可能です。今回は2つの戦略についてご紹介します。
まず、美味しさを伝えるためには、消費者に食べてもらうのが一番です。
コロナ禍ではなかなか難しいかもしれませんが、店頭で試食販売を行うのが一番消費者にダイレクトに美味しさを伝えられます。
提供メニューは、なすのトロトロ食感を活かした「白なすチーズグラタン」などがおすすめです。
また、白なすを調理した惣菜を販売させてもらい、生鮮&加工品の抱き合わせで攻めるのも一案です。
試食販売が難しければ、白なすの魅力を視覚的に伝える店頭表示の方法をもっと工夫しましょう。
「美味しい食べ方やおすすめレシピを印刷した紙をつけてパックした」とありますが、最近ではレシピも動画の時代です。
自社サイトやインスタに導くQRコード入りのシールを貼るなど、一工夫が必要でしょう。美味しそうな写真入りPOPを店頭に置いても良さそうです。
そして重要なのは、店頭表示に載せるコピーです。具体的には、美容健康に関わるものだと女性は目を引かれます。
例えば「白」に特別な意味合いを持たせた「色白美人(White Beauty)」というネーミングはいかがでしょう?
商標登録調査が必要ですが、もし可能なら袋に貼るラベルやPOPでアピールします。
またなすの効能についても発信できると良いですね。例えばなすに多く含まれるコリンエステルは、血圧の改善や気分をよくする効果を発揮することが証明されており、高知のなすは機能性食品表示食品として認可されています。
白なすも成分を調べてみる価値はありそうです。パッケージには「○○に効く」とは書けませんが、POPになら他社事例を挙げ「○○な効能があると報告されています」と表示ができます。
購入率を上げるためにできることは、たくさんあります。良い結果が出るよう少しずつ取り組んでみてください。