群馬県のナス農家です。就農してまだ2年ほど、毎日学ぶことばかりです。個人的に家庭菜園で野菜をつくっていた時になすが育てやすかったのと、純粋にナスが好きなので、現在はナス1本でやっています。
病気を防ぐためにも接ぎ木は必要不可欠なので、接木苗をインターネットで購入していますが、今後規模を大きくするためにコストを考えて自作したいと思っています。
試してはみましたが、細かい作業が多く神経を使うのでとにかく時間がかかってしまいます。大雑把な性格の自分にとっては気が遠くなる作業です……。
インターネットで調べたら「挿し接ぎ法」「割接ぎ法」など方法はいろいろあるみたいですが、もっと簡単に作る方法や、新しい技術はないですか?
(群馬県・附田さん/仮名・30代)
タキイ種苗株式会社
タキイ種苗株式会社
ナスの接ぎ木には「ピン接ぎ」や「チューブ接ぎ」という方法があります
ナスの接ぎ木(2つ以上の植物をつないで1つにすること)は、従来「割り接ぎ(台木に切り込みをいれ、接ぎ穂を差し込んで縛り、活着させる方法)」が行われてきました。
しかし最近では、チューブやピンを使ったセル苗での「幼苗接ぎ木」が広く行われるようになっています。
「割り接ぎ」は、台木が本葉5~6枚、穂木4~5枚時に台木は1または2葉残してカットし、1〜1.5センチメートルの深さに切り込みを入れます。
穂木は2~3葉つけてV字型に切り、台木の割れ目に差し込み、接ぎ木バンドかクリップで止めます。
一方、近年よく行われる「チューブ接ぎ」は、 台木と穂木を斜めに切り、切り口を合わせて1.5cmぐらいの長さのチューブで固定します。
タキイ種苗で開発した「ピン接ぎ」は、ナスの接ぎ木には好適です。
穂木と台木をセラミックの芯でつなぎます。そのため作業がしやすく、作業効率も良く、早くできます。
また、台木の節間が短くても接ぎ木できて、穂木と台木の太さが少々違っても接ぎ木できます。
幼苗接ぎ木を行ううえで、注意すべき点としては、湿度・温度が維持できる養生設備がないと活着率が下がることです。
通常、幼苗接ぎ木の場合は、活着を促すために接ぎ木後1~2日目は温度28℃・湿度98%、3~5日目は温度25~28℃・湿度93~95%、6~7日目は温度20℃・湿度90%以下に養生する必要があります。
養生施設がない場合は、「チューブ接ぎ」などもご検討いただければと思います。
接ぎ木全般に言えることですが、穂木と台木の接着面をしっかりと合わせることが重要です。
また倒れると接着面がずれ、活着率が下がるので倒れないように工夫が必要です。