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「自然農法」の基準や規格を教えてください

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「自然農法」の基準や規格を教えてください

親の田んぼを継いで静岡県で米の兼業農家をしています。

米の価格が下がるなかで、米農家が生き残る道は、安く大量に作るか、高付加価値をつけて少量生産するかの二択だと考えています。

これまでは、農薬を使って育て、通常の価格で農協に売っていました。また、兼業農家なので大量生産することもできません。

そのため、今後私が生き残るには、付加価値をつけて利益を上げることだと考えています。

付加価値をつける方法として有機栽培にしようかと検討していましたが、有機栽培の中には「何もしない自然農法」があるということを知りました。

自然農法に興味があり挑戦してみたいのですが、雑草をどの程度抜いていいのか、耕運機を使ってはいけないのか、マルチは使ってはいけないのかなど、基準や規格がわからないため、教えてほしいです。

手間がかかることは覚悟しており、それだけほかの農家がマネできない価値になるのではないかと考えています。
(静岡県・田平さん/仮名・30代)

田中大樹

Junkan農園

大豆、稲、小麦の2年3作の農薬不使用の循環農法に取り組んでいます

私は神奈川県の開成町北部の水田地帯と、隣接する大井町の畑で「循環農法」を実践してます。

循環農法とは畑に生えた草を発酵させて、土に還すことで土づくりし、季節に合った作物を育てる農法ですが、循環農法と自然農法に大きな違いはないと考えています。

具体的に説明しますと、私は田んぼで、大豆、稲、小麦の3種類を輪作しています。

輪作のサイクルはまず、1年目は大豆栽培です。

大豆の窒素固定や、茎、葉、根の有機物によって、田んぼには稲が十分に育つほどの地力が付きますから、翌年の稲は肥料代が基本かかりません。

また、大豆の後作では、アレロパシー(※ある植物が他の植物の生長を抑える物質=アレロケミカルを放出したり、あるいは動物や微生物を防いだり、あるいは引き寄せたりする)の効果で水田雑草の密度がかなり減りますので、水稲の除草対策も負担が軽減されます。

そのため、除草をまったくしないで済む田んぼもありますし、雑草の生え具合を見ながら、除草機を使う場合もあります。私は、和同産業の水田除草機械を持っていて、ヒエが生える田んぼでは年に1〜2回使用することがあります。

10アールの畑から収穫できる大豆は、約150〜200kg。大豆は、窒素成分5%の有機肥料となりますから、発酵肥料にして、野菜作りに使います。

収穫した大豆を肥料として換算すると、窒素成分にしておよそ10㎏相当になるので、野菜作りの肥料代がほとんどかかりません。

化成肥料は、肥料工場で化石燃料を燃やしながら、高温、高圧条件で生産しますが、大豆は自然環境(常温、常圧)下で、空気中の窒素を固定しながら、育ちますので環境への負荷もありません。大豆によって後作の稲も育ち、さらに収穫物はたんぱく源として、肥料として(もちろん食品としても)貴重な資源となっており、私の農法では根幹となる作物です。

また、大豆は微生物の培養のエサとして使用されています。土の中でも腐敗しにくく、根腐れの原因にもなりづらい点が、魚由来の有機肥料とも異なります。

大豆、稲ときたら、その次に秋まきの小麦を作ります。小麦が終わったらすぐに大豆を作付けし、2年で3作となるように繰り返していきます。

10アールの農地で稲だけの収量は約8俵前後ですが、秋まき小麦が平均して5俵取れますから、合計で年間13俵の穀物を収穫していることになります。経費は農薬代ゼロ、畑の肥料代もほとんどかからず、機械代と燃料代くらいです。

国産の安全な食料を安定供給すること価値は、すでに、生産者よりも、消費者の方が気が付き始めていると肌で感じます。

冒頭で申し上げましたが、私自身は循環農法と自然農法に違いはあまりないと考えています。ただ肥料を有機に変えただけで有機栽培というのは誤解だと思います。機械やマルチは必要最低限は使ってもいいと思いますし、草は生育に支障がでない程度には抜いていますよ。

「付加価値を上げたい」というご相談者さんの相談に対する私の考えを申し上げますと、私の場合は、(1)大豆を組み込むことで、経費が抑えられていること、(2)2年3作である点です。現在、私はお米を1俵3万円(5kgで2,500円)で販売しておりますが、販路は個人のお客さまばかりで、少しずつお客さんが増えています。

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森山道弘

MOA自然農法文化事業団

土が本来持っている力で作物を育てるMOA自然農法を実践しています

私たちが実践しているMOA自然農法は、農薬や化学肥料を使わず、土が本来持っている力で作物を育てる農業です。

自家採種、根伸びがよい土づくりなどをめざすと共に、自然観察を心がけ、適地適作を基本に、作物の特徴に合わせて栽培をしています。

現在は、静岡県伊豆の国市にある大仁農場で試験研究に取り組んでいます。

自然農法を実践するには、栽培の基本的な考え方や進め方をまとめたガイドライン(生産者や家族の健康を基本に、根張りのよい土づくりを心がけ、種や苗を大切にするなど)を学び、「生産者宣言」に同意していただくことが要件のひとつになっており、全国に多くの生産者がいます。

このようにガイドラインに沿って、作物に応じ、適期の管理などを行うため、自然農法は、ご相談者さんがいう「何もしない農法」ではありません。

また土づくりをはじめ、手作業や機械での除草に、手間と時間がかかることもありますが、適地適作や適切な栽培管理などによって、軽減できる場合もあります。

また農薬を散布する時間や経費もかからない面もあります。

現在、国(農林水産省)は、「みどりの食料システム戦略」をもって、有機農業を大きく進めようとしています。有機農産物へ関心のある消費者の方も増えてきており、自然農法・有機農業を取り巻く環境は大きく変わろうとしています。

また、有機農産物の値段は一般的に高くなる傾向があるので、そういう意味ではご相談者さんが考える「付加価値」に結びつく可能性があります。

MOA自然農法の生産者が、ガイドラインに沿ってこだわって作った食品は、「グリーンマーケット」ショップで販売しております。

一般的には規格外とされる小さい野菜や大きすぎる野菜など不揃いの作物についても、つながりのある愛好者と連携して販売しておりますし、加工に回すなどして、無駄にしておりません。

健康・自然環境などを守るうえでも、大切な農業であるとの理解が世界的に広がってきています。この農業の大切さなどを愛好者、流通・加工関係者などとも共有、そして連携し、取り組むことが大切であると感じています。

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