京都で兼業農家として、代々受け継がれた土地を守るため、米を栽培しています。足腰の悪くなった父親から任せられるような形で、定年退職後に田んぼをやり始めました。
私の集落では、集落営農組合がまとめて刈入れや乾燥、検査を行うため、自分の手元に収穫物が返ってきた時、いつの間にか等級が確定しているかのような感覚になります。
組合が言うには、圃場や生産者ごとに分けて検査員に米袋を提出し、そこから規定の数サンプルを取り出して検査するようです。
しかし、「今年はよく獲れたなぁ」と思う時でも二等だったり、逆に悔しい結果に終わった時に一等だったり。
米栽培に関してはプロであるという自負はありますが、目利きについては今ひとつ、ピンと来ていない点が多いのが悩みです。
検査員はいったいどこを見て、一等か二等かを判別しているのでしょうか?
(京都府・橋本さん/仮名・60代)
相川英一
一般財団法人 日本米穀商連合会 専務理事
違いは見た目で判断されますが、判断基準はさまざまです
一等米、二等米というのは、農産物検査法に基づいています。
米は農産物なので、虫に食われた米(カメムシ)、病気になった米(着色米等)、発達ができなかった米(青未熟)、刈り取り中に割れた米(胴割れ)、玄米の中に、もみやもみ殻が入っていたり(異物)します。
一等米はそういった米が少ないものです。でも少なからず一等米でも混入しています。
一等米のほかに二等米、三等米、規格外とあり、下位になるほどこういった米が多くなります。
価格も下に来るほど安くなりますが、食味は変わりません。あくまでも外形の規格だったり、異物の混入ということです。
でも消費者が食べる米はそういう米をすべて取り除いているのです。だから表示も書いていません。
あくまでも業者間の取引に使われているのです。二等米は価格が安いですが、異物等を取り除く手間や歩留まり(一等を精米すると89%ですが、二等米だと80%になることもあります)が悪くなり、二等米のほうが安くなる傾向です。
昔は二等米の取らなければいけない米を入れて安く仕上げることをしていましたが、今は消費者の目が厳しくなり、そういうこともできません。
生産者も努力をしており、なるべく一等になるよう事前に機械に通して一等米にするようにしています。だから現在は一等比率が80%を超えています。
竹本彰吾
有限会社 たけもと農場
毎年の目合わせ会で検査の厳しさは変わります
農産物検査のことですね。検査基準というものがあって、詳しく知りたい場合は「農産物検査 米」でインターネット検索してみてください。
米の検査は主に外観(見た目)で判断されます。
粒揃いや病害虫による被害粒、未熟粒などを見るのですが、素人目で「キレイな粒ができた」と思っても、カメムシ被害の粒が何粒もあると二等米になることも少なくないです。
検査では二等米になった理由が明確化されていますので、一度問い合わせてみるのも良いでしょう。
また、うまくできなかった印象のものでも一等米になる場合、もしくはその逆になる場合も結構あります。
そういう場合はその年の傾向により、相対的に判断されているためです。
僕の住んでいる石川県では、毎年新米収穫スタート時期に、検査員たちが集まって「目合わせ会」をひらいています。
「今年は全体的に外観が良いので、少し厳しく見ても良いかもしれない」「今年は白くなっている米が多いので、例年の見方では、すべて二等米になってしまう。少し甘く見た方が良いかもしれない」などといった議論を行っています。