東京の郊外で野菜作りをしています。先祖代々の農家ですが、再開発の波を受けて圃場面積は縮小するばかりです。
それでも何とか農家を引き継がなくてはならないという気持ちで、私もサラリーマンを辞めた後に親元に就農して10年以上が経過しました。今も父の背中を追いながら、日夜精進しています。
旬の野菜を中心に、葉物や果菜類など少量多品種の栽培を手掛けています。主な作物は、春夏はアスパラや枝豆、秋冬はブロッコリーやほうれん草など、年間20品目ほどです。
その中で、サツマイモ(紅あずま)を約35アールの圃場のうち、2畝ぐらいで栽培しています。
これまでは、自家消費する程度のわずかな収量でしたが、今後は直売所に出荷して利益を得たいと思い、収量アップを目指したいです。
しかしスペースが限られているので、栽培方法を工夫できないかと考えています。肥料や苗の間隔、つる管理などにより、1株あたりの収量を上げる方法はありませんか?立体栽培にも興味を持っています。
(東京都・高橋さん/仮名・40代)
山川 理
山川アグリコンサルツ代表、農学博士
市場価値の高い「紅はるか」を無肥料栽培するのがおすすめです
他の野菜との輪作を行う場合には、先端部の葉やツルばかりが茂ってしまい、開花や着果しにくくなる「ツルぼけ」を防止するために必ず無肥料にしてください。
相談者さんが栽培している「紅あずま」は一昔前の品種です。私なら市場からの評価が高い品種「紅はるか」をおすすめします。
こちらなら、3年間は無肥料で連作栽培ができます。
紅はるかの定植時期は5〜6月にかけてで、マルチを使っても、使わなくてもどちらの栽培も可能です。
畦の幅は85から90cm、株と株の間は35cm程度にします。
収穫時期は、無マルチの場合は10月中旬から11月上旬、マルチありなら、9月下旬から10月中旬となります。
収穫後、1カ月間くらい熟成貯蔵して糖度を高めてから出荷して下さい。
サツマイモのツルは、ネットや支柱には自らは巻きつかないため、立体栽培は非常に手間がかかるのでおすすめしません。
おもしろい栽培方法として、数m以上の長いツルを畝に植えて、節ごとに着いたサツマイモを収穫するという方法もあります。
1株から数10個のイモがとれますので、調べてみてください。