サツマイモを垂直植えで栽培するメリットを知りたい

YUIME Japan編集部 / 2023.04.18

生産方法

#サツマイモ #野菜作 #根菜類

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近所の道の駅でサツマイモの売れ行きが好調だと聞き、私もサツマイモを栽培してみようかと考えています。

しかし、普通にサツマイモを栽培しただけでは、ほかの農家さんのサツマイモと差別化ができないので、何か工夫できないかと考えてました。

先日、農家仲間に相談したところ、サツマイモの垂直栽培という方法があると知りました。

どのような栽培方法なのか、イマイチわかりませんが、私にもできそうであれば、挑戦してみようと考えています。

そこで、垂直植えのメリットや注意点について詳しく教えてほしいです。

山川理

山川アグリコンサルツ代表、農学博士

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短い苗を使うサツマイモの垂直植えは、乾燥が厳しい時に活着が良くなるが、いも数が少なくなり、いもの揃いや形が悪くなる

サツマイモの垂直植えとは

サツマイモの垂直植えとは、苗を畝に対して垂直に植える栽培方法を指します。

垂直植えでは、5〜6枚ほど葉が展開した苗を、深さ10cmほど根が埋まるように垂直に植えていきます。

サツマイモの栽培方法では特異な植え方であり、機械定植やマルチ栽培で短い苗を使う場合に行う場合があります。

株元にサツマイモが集中して着生するので、収穫も比較的簡単です。

サツマイモでは、苗と根を土に対して斜めに植える「斜め植え」が一般的ですが、苗の伸びない品種や早出し栽培などに合わせて、垂直植えで栽培する農家も一定数います。

垂直植えのメリット・デメリット

垂直植えは一般的な栽培方法ではありませんが、状況によっては適している場合もあります。

メリット・デメリットを把握したうえで、栽培方法として採用するかを検討してみてください。

垂直植えで育てるメリット

垂直植えのメリットは次の通りです。

・乾燥に強い
・植付が早まることで収穫が早くできる

垂直植えは、斜め植えよりも乾燥に強い栽培方法です。

サツマイモはもともと乾燥に強い作物ですが、極度に乾燥した畑ではかえって悪い影響を与えてしまいます。

シラス台地などの乾燥しやすい地帯での栽培方法として適切と言えます。

また、他の栽培方法に比べて、収穫時期が早く、大きく育つという特徴もあります。

マルチ栽培での機械移植では短い苗を使う場合があり、斜め植えは採用しにくいです。

斜め植えの場合は、苗を植えてから140日ほどを目安に収穫しますが、垂直植えの場合は約100日ほどで収穫が可能になります。

垂直に植えることで、小さな苗でも植え付けができることで、早く大きなサツマイモへと成長する仕組みです。

垂直植えで育てるデメリット

垂直植えのデメリットは次のようなものがあります。

・収穫できるサツマイモの数が減る
・丸みを帯びた形、あるいは曲がった形のサツマイモができる

垂直植えでは、発根部分が少なくなってしまうので、どうしてもサツマイモのいも数が減ってしまいます。

苗数を増やすことで補いましょう。

斜め植えと同じ収穫量を見込みたい場合は密植のための苗の確保が必要です。

また、丸みを帯びた形のサツマイモができるため、一般的な細長のサツマイモとのイメージとはかけ離れ、市場性が劣ります（つまり値段が下がります）。

垂直植えのポイント

垂直植えでは、葉が5～6枚ほど展開した20〜25cmの苗を植え付けていきます。

2つの節は土の上、残りの2～3枚の節は土の中に入るように深く植えるのがポイントです。

また、苗と苗の株間は30cmほどの間隔を空けて植える必要があります。
（注意）特に理由のない限り垂直植えはおすすめできません

一般的な栽培方法はこちらをご覧ください
「サツマイモを栽培したい！生産方法や注意点を教えてください」

このお悩みの監修者

山川理

山川アグリコンサルツ代表、農学博士

京都大学農学部卒、農学博士。農林省九州農業試験場では、サツマイモやイチゴの新品種を多数育成。1996年日本育種学会賞。1998年農林水産大臣賞。山川アグリコンサルツ代表として、食品関連企業の顧問や地域の活性化アドバイザーとして活躍。千葉大学園芸学部非常勤講師。『サツマイモの世界世界のサツマイモ: 新たな食文化のはじまり』など著書多数。

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