当家では代々農業を営んでおり、70代の父母と私、お手伝いしてくださるパートさんで、農業をしています。
数年前から農業に加え、お客様用に5つの部屋がある築80年の古民家で、民泊事業を行っております。
しかし、コロナ禍で民泊や農業体験に参加する人がぱたっといなくなってしましました。
父母も宿泊される方々と触れ合えるのを楽しみにしていましたが、この1年あまり、お客さんはゼロに近い状況で、寂しいようです。
経営面でも民泊は売り上げの3割近くを占めていましたが、一気にそれがなくなり、農作物の出荷価格も下がっているので、大変な状況です。
そのため今の古民家を、働きながら休める「ワーケーション」ができる施設に改装するのもありかと思っています。
しかし、ワーケーションに対応できるよう設備投資をしても、お客さんが来てくれなければ意味がないので、どうしたものかと…。
今の古民家を活かしてワーケーションに事業転換をするのか、それとも農業だけに専念し直すか、はたまた別の方法があるか。
何かいいアイデアがあれば、教えてもらえるとありがたいです。
(徳島県・古田さん/仮名・40代)
脇坂真吏
AgriInnovation Design/東神楽大学学長
農業民泊等からの事業転換もひとつの手段です。サービスの見直し・工夫も検討を
多くの産業・業態において、コロナ禍で需要が減っている状態です。この経済状況の中で、事業転換は経営判断の1つとして大事な事かと思います。
ただ、需要が減っている状態だからこそ、需要回復後に今までよりも良いサービスが提供できるよう、見直しや工夫を行うチャンスと言えます。まずは、現在の事業を見返し、工夫してみるというのはいかがでしょうか。
事業のムラは、長年続けていくと、どんな業態でも蓄積していくものです。こうした時に、きれいに過去のムラを掃除しやすくなります。
業態転換ではなくても、コロナで広がるオンライン化に着手している事例もあります。いただきますカンパニーさんが行っている「オンライン農場ツアー」では、北海道十勝の農場ツアーを「畑ガイド」の案内を通して、オンラインで体験できるようにしています。
このサービスは、農業経験が豊富なガイドが現地をリアルタイムに案内し、生産者と直接対話ができるのが強みです。また、回線不良など、さまざまなトラブルが発生しても、イベントを中断させないサポート体制も充実しています。
畑ガイドは、これまでに1万人を案内してきたプロのガイド集団です。国内外の多くのお客様を案内してきた経験があるので、農業の専門的な事をわかりやすく説明してくれます。
農業と普段接点のない一般の方、幼児・小中高生の校外学習から、農業に実際に取り組む方、自治体などで新しい農業事業のアイデアを学びたい方、さらには日本国外からオンラインで日本の生産現場を知りたいというニーズにまで対応することが可能です。
また「ゲストハウス一棟貸しサービス」という取り組みでは、札幌や小樽にあるゲストハウスをまるごと一棟貸しきりにする事で、研修・合宿・飲み会・パーティ・ファミリー利用など、誰でも自由に利用できるサービスです。このような試みを参考になさってください。
事業転換については、どのような想いで今の事業を行っているのか、何を目指しているのかがわからないと、適切なアドバイスはなかなか難しいです。
ファンや顧客がある程度いるようであれば、インターネット販売への事業転換もあると思います。また、キッチンカーで売れる場所に販売に行くなどの方法も考えられます。ただ、どちらも簡単に始められる事業ではないというのが、正直なところです。