我が家の畑は、土手の近くに面しており、近くに大きな取水口があります。
取水口のところには、砂が多く堆積し、細かい砂になっているため、夜中や早朝などに砂を取りに来る人がいます。
夏など朝5時過ぎから畑仕事をしていると、砂を取っている人と出くわし、中年の男性が「しまった」という顔をして去って行きます。
取水口は私の所有物ではないため、砂をとるには問題はありません。
ただ、作業後道路に砂がまき散らされた状態になっているのは困ります。
土手にあがるための通路に砂がまき散らされているので、畑仕事をしていると地域の人から「砂をどうにかしてくださいよ」と苦情を受けています。
市役所に「使用後に砂はきれいに流してください」という看板を建ててもらったのですが、おさまる気配がありません。
自治会経由で市役所に防犯カメラを付けることを提案しましたが、予算や管理の問題で、今は厳しいと言われました。
何かいい対策はないでしょうか?
(岡山県・水口さん/仮名・60代)
田中克樹
農と風土の学び舎
砂の採取には届出が必要な事をアピールするなど、自治体や地域と連携して対応を!
ご質問者が言われる取水口は畑近くにあることから、おそらく農業用水用の取水口だと思われます。その管理主体はほとんどの場合、市町村か土地改良区です。
取水口には川砂が溜まりやすく、取り除く作業を行うこともあるので、川砂取りに来る人たちは問題がないと考えているのもしれません。
しかし、実はこうした砂(川砂、海砂など)は、河川法や砂利採取法により採取が制限されています。
したがって、通常は、砂(砂利)の採取にあたって、都道府県が条例で採取のための手続(業者の登録や採取計画の認可)を定めています。こうした手続きなしに採取すると、河川産出物の違法採取(窃盗罪)となり、罰則(懲役または罰金)を受ける場合もあります。
ただし、河川は公共物であり、原則として誰もが自由に利用することができます。そのため、個人が少量を常識の範囲内で採取する分には違法とは見なされないという可能性もあります。
ご質問も個人の利用に当たると予測されますが、実際それが常識の範囲内なのか、その使用目的は何かなどを調べてみる必要があるかもしれません。目的によっては、違法行為として対応するなどの方法することも必要になります。
対策をどのように行うのかですが、砂は「社会基盤整備のために必要な資源」であることをアピールし、採取するには管理者(市町村、土地改良区など)に届け出て欲しいことを看板などで告知してはいかがでしょうか。
看板に届出を強く促す表現を載せてもいいかと思います。届出が必要となれば、川砂を撒き散らしたままで帰ることはなくなるのではないでしょうか。
もうひとつの方法として、逆に「溜まった川砂を差し上げます」と告知するのも一案です。取水口の管理主体に相談し、取水口を開ける前の時期などに川砂を採取できる日時を決めて、最後は道路掃除までさせるのもいいかもしれません。
砂の採取問題にはこれといった決定打はなかなかありませんが、以上の案も参考にされて、役所や関係団体などにも相談しながら、地域で知恵を出し合って対処してみて下さい。