沖縄県でマンゴーを栽培しています。義父がマンゴー農園をやっていたので、見習いからはじめ、2年が経ちました。
今年は譲り受けたハウスで完全無農薬の栽培に挑戦しています。害虫駆除に苦戦しましたが、まずまずの成果でした。
しかし先日、私の留守中に義父が勝手に除草剤をまいてしまったのです。ハウス内の雑草が伸びてるので、見ていられなかったのかもしれません。
ですが、これまでの努力が水の泡になった気持ちでいっぱいです。
いろいろと教わった義父に意見するのは難しく、怒りをぶつけることもできません……。
除草剤の残留期間や土への影響があると思うのですが、一度撒いた除草剤を取り除くにはどう対処すればいいですか?
(沖縄県・坂田さん/仮名・40代)
吉田俊道
農業法人(株)菌ちゃんふぁーむ 代表取締役
死んだ微生物を復活させる土づくりをしましょう
微生物の豊かな土壌中では、数多くの種類の微生物たちが複雑に絡み合って生きていて、その影響で、土壌の団粒構造を促進したり、例えば窒素を固定したり、土壌中のリン酸やそのほかのミネラルを作物が吸収しやすくしたりしています。
つまり、微生物が作物の生育や豊かな土壌を支えています。
しかし、除草剤をまくと、土壌中の微生物たちに大きなダメージを与えてしまいます。
具体的には、微生物が死にます。つまり、作物の生育や土壌にも悪い影響が生じます。
相談者さんがこれまで頑張ってきたことが土づくりであるとしたら、落胆するのも当然でしょう。
ただし、現場レベルで観察すると微生物の回復は早いです。
明渠(めいきょ/地上の水路)をできるだけ深く作り、微生物のエサを表層部に施用するなど土づくりを継続すると、感覚的ですが、半年程度もあれば元通りに回復するのではないかと感じています。
つまり元通りに土は軟らかくなり、植物は健康になります。
微生物の働きによる土づくりは、大気中のCO2も減らす希望の取り組みです。心のなかで菌ちゃんたち(微生物)にお詫びしながら土づくりを続けて欲しいです。
松淵定之
農薬工業会 安全広報部
有機栽培を謳えなくなりますが、3年の辛抱です
まず、相談者さんは「無農薬」とおっしゃっていますが、農作物にまったく農薬を使用していないことを示す基準や認定機関が存在しないため、厳密には無農薬を謳(うた)うことは禁止されています。
そのため、有機栽培を前提にお話します。
結論から言うと、この先、3年間は有機を謳わずに収穫物を販売するしかありません。
これは、有機栽培が「米や野菜などの1年生作物は種まきや植え付けの前2年間、多年生の作物は前3年間化学合成農薬・化学肥料を使用しないことが条件となっている栽培方法」とJAS規格により定められているからです。