ぶどうと桃を栽培している果樹農家です。
最近、重い荷物を持ち上げたり、中腰での作業を行ったりするときに使うアシストスーツをテレビや新聞などで見かけます。
収穫した果実を入れたコンテナを運ぶのは重労働で、こういったスーツもあれば楽になります。
しかし、私にとってはそれ以上に、ぶどうのジベレリン処理や受粉、摘果、収穫や剪定まで、ひたすら腕を上げながらの作業が多くて、本当に辛く感じます。
長時間腕を上げながら行う作業をアシストしてくれるような器具はないでしょうか。
(山梨県・雨宮修さん/仮名・60代)
逢坂大輔
株式会社シーエフロボタス
上腕を下から支えてくれるアシストが得られるスーツがあります
腕を上げ続ける作業を助けてくれるアシストスーツがあります。どちらも農家さんの棚下での作業はもちろん、建築現場や製造現場でも使用されています。
人間の腕の重さは、上腕で体重の4%、前腕で3%、手で1%、合わせて体重の8%ほどになるといわれています。
体重60kgの人だと、片腕(上肢)の重さは約4.8kg、体重70kgの人だと約5.6kgとなります。おおよそ5kg前後の重さを肩の筋肉で支えているかたちになります。
さらに、その腕に道具を持ったりすると、その分の重さが増してしまいます。
腕を支える肩の筋肉は主に三角筋といわれる筋肉です。この三角筋は、鎖骨部分や肩甲骨の上方から始まり、上腕の近位(上の方)に付着しています。
筋肉の長さとしては短めなのが特徴です。その短い筋肉で長さのある腕を上げ続けることになることから、筋肉への負担が強くなり、すぐにダルくなってしまうのです。
果実の剪定や収獲などの農作業で腕を肩よりも上に上げ続ける状態は、筋肉の疲労を引き起こしやすく、ひどくなれば関節を痛めてしまうことにもつながります。
上向き作業用のアシストスーツを身につけると、上腕を下から支えてくれるアシストが得られるため、腕をもたれさせた状態で楽に上向き作業をすることができます。
このアシストスーツを使うことにより、体が疲れ知らずとなり、作業がはかどることは間違いなしでしょう。