茨城県の果樹農家です。桃や梨の摘果、葉つみ、畑の植え付け手伝いなどを、シルバー人材センターの方に手伝ってもらうことがあります。
うちの地域では、高齢者の多くがシルバーセンターの会員となり、活発に活動しています。
同業者の間でも利用しているところがあり、どこの農家さんでも、とても助かっていると聞きます。
繁忙期の人手不足は悩みの種ですからね。
来ていただく人のなかには非常に人柄がよく、仕事ができる人もいます。
そういう人には可能な限りうちに来てもらい、長く続けてもらいたいです。
現在は、シルバーセンターとの請負契約ということで、最初の取り決めにより、仕事の日数、労働時間以外にも制約があります。
仕事ができる人には、こちらの裁量でいろいろお任せしたいこともあるので、できるなら、個々人との直接契約ができればと考えています。
「引き抜き」のようで、後ろめたいような気持ちもありますが、報酬は現在、我々がセンターに支払っている金額よりも多くすることも考えています。
こういった直接契約に切り替えるには、どうすればいいのでしょうか?問題にはなりませんか?
(茨城県・竹井さん/仮名・60代)
全国シルバー人材センター事業協会 業務部指導第二課
公益社団法人 全国シルバー人材センター事業協会
条件が合えば派遣契約もできますが、会員の特定はできません
シルバー人材センターでは、地域の家庭や企業、公共団体などの発注者からの仕事を、センターが請負契約や委任契約で受注し、高年齢者である会員にその仕事を行ってもらいます。
相談者様のケースは個人農家さんのようなので、シルバーから請負で行っている会員さんかと思います。
こうした請負では、発注者が仕事において指揮・命令をすることはできません。また、納期を考慮してシフトを組んで行うことが多く、働く人の人数や配置などはセンターが決めます。そのため、発注元が特定の会員の指名をすることはできません。
シルバーの会員の方の多くは、臨時的短期的な就業を希望しシルバーに登録しているので、ご質問にありますような引き抜きにより長期的な雇用を希望されるかどうかは分かりません。繁忙期のみ人手が必要であれば有期で有料職業を受けて会員に来てもらう方法もあります。
すなわち、センターによっては有料職業紹介を行っているところもあるので、繁忙期の3カ月とか6カ月間の有期で職業紹介を受ける方法であれば、会員はセンターを退会する必要もありません。
一方、シルバー人材センターには「シルバー派遣事業」という取り組みもあり、1年とかの長期の派遣を繰り返すこともできますが、これは仕事の指揮命令ができる人がいる農業法人に向いています。
法人とセンターで派遣契約を結ぶことで、派遣先の指揮命令者、派遣先責任者など、組織的な対応ができます。ただし、派遣の場合でも、来てもらう会員を特定することはできません。
しかしながら、作業内容に特性がある場合もあり、派遣労働者によっても向き不向きがあるため、派遣社員が自ら派遣先を選ぶことはできます。
例えば、派遣社員が業務内容や職場環境を確認するために、事業所を訪問することができます。
その際には、派遣先が業務内容や求められる技能について説明することになります。もちろん、派遣労働者の希望することが前提であり、派遣先が「現場の見学をしてください」と指示することはできません。もちろん、この際に事前面接や試験を実施するのも不可です。
なお、シルバー人材センターは、定年後の臨時的、短期的かつ軽易な就業が目的のため、週約20時間までの就労が原則ですが、法改正により派遣については週40時間に拡大できるようになりました。
実際の地域の状況については、それぞれ最寄りのシルバー人材センター連合、及びシルバー人材センターに相談確認してください。