神奈川県で野菜を栽培して30数年となります。
最近、一念発起して、今までの発想や価値観、やり方を根本的に変えようと考えています。
まずは外部から優秀な右腕になる人材を迎い入れたいと考えていますが、ここで行き詰まってしまいました。
就職サイトなどで募集をかけてもいいのでしょうが、それではアルバイトの募集とさほど変わりません。
できれば将来を見据えて農業系高校やビジネス系の専門学校などを通じて就職募集をかけるのも面白いと思っています。
もし農業系のビジネスを教えている専門学校などがあれば、教えてほしいです。
思い切って大学卒の人材に絞った方がいいのでしょうか?
応募があった場合の選び方もわかりません。面接だけではあいまいですし、例えば、最新の農業事情に関する筆記試験や抱負についてを提出してもらうのも悪くないと考えています。
就職にあたっての規約も必要でしょう。ひとりでやろうとすると、どうしても煮詰まってきます。
(神奈川県・金子幹夫さん仮名・50代)
江城嘉一
YUIME株式会社 取締役 人材支援事業統括
優秀な人材の募集は、地域一体となって受け入れる側の体制の見直しから始めましょう
日本は少子高齢化が進んでいます。若く優秀な人材の採用は経営者のみならず、農業の場合は地域全体の大きな課題ともいえます。
まず大切なのは、仕組み作りです。つまり受け入れる側の体制の見直しをしてください。優秀な人材を採用したいのでしたら、優秀という定義にあわせて、自社もしくは地域一体となって、採用および定着できる環境や仕組み作りが必要です。
とくに定着させることは大きな課題です。多くの経営者は人材定着のために試行錯誤を繰り返しています。
具体的には、給与や年収の安定。これは基本です。そして労働環境の改善、さらにはキャリアプランを他産業に比べてもそん色ないレベルに昇華させる必要があります。
農業という産業自体はそれそのものが魅力的ですから、この3つを改善するだけで優秀な人材が当該地域に殺到&定着することでしょう。
ここでポイントとなるのは、地域一体となって対策して改善していくことです。場合によっては複数農家で法人化を行い、人材を受け入れる規模を拡大するといった思い切った施策が必要です。
相談者さまはコンサルティング会社への依頼も考えているようですが、まずは地域の仲間たちと話して考えることが先決です。
受け入れ体制を整えたら、実際の求人です。ターゲットとなる若者が好むようなポイントをしっかりアピールしていきます。
また、キレイ事ばかり言っていると、「こんなはずではなかった!」となりかねません。事実をありのままに伝え、継続できるかどうかの確認も必要です。
例えば現場での写真を用意すると相手のイメージとのズレを防ぐことができます。さらに体力を要する仕事ですから気力だけでは続きません。
体力面の確認は欠かさないでください。農業の仕事を「太陽の下でのびのびと働ける」と考えている方がいらっしゃるので、実際の農作業の大変さを伝えることも大切です。
そして最後は協調性でしょう。住み込みがメインとなるケースでは、とくに重要視するポイントです。
最後に、とくに気をつけることをお伝えします。それは、若者に「やりがい」だけで働いてもらうことを避けることです。
燃料となる「やりがい」はいずれは枯渇してしまいます。だからこその受け入れる側の環境の整備と改善を継続させていってください。魅力的な人材と巡り合うことを祈っております。