米と野菜を育てている農家です。農業仲間と話してても、新型コロナの影響があるようで、みな口々にしんどいと話しています。
農業仲間は9割方、JAに正組合員として属しており、各種農業部会にも所属していますが、農協に頼らず直販のみで農業をやっている仲間もいます。
しかし、みんな売上が落ち込んでおり、補助金や融資を受けて、何とか食い繋げないかと考えています。
私も融資を受けたいのですが、これはJAにお願いすればよいのでしょうか?それとも、他の金融機関や地方自治体にお願いしてみるというのもありでしょうか?
JAに加入していない仲間の場合、農協から融資を受けることは望めないでしょうし、彼も融資を受けるために加入まではしたくないようです。
この場合、公の金融機関に相談するなり、銀行や信用金庫などに相談すればよいでしょうか?
返済のことを考えると、利息が安く、土地・建物・農地を担保に入れなくていいこと。
また親族とはいえ迷惑をかけたくないので、連帯保証人を付けなくていい融資先が知りたいです。
金融機関によっては「据置期間」という利子だけを返せば良い期間を設定してくれるところもあると聞いたので、据置期間が1年なり2年なり設定できる借入先を教えてください。
(鳥取県・松田さん/仮名・50代)
木下 徹
農業経営支援研究所
JAや地方銀行などの金融機関を通し、日本政策金融公庫の融資を活用できます
コロナ禍での減収に対する代表的な融資は、日本政策金融公庫の「農林漁業セーフティネット資金」や「スーパーL資金」などがあります。
これらの資金は特例措置により、5年間実質無利子、無担保です。さらに、保証機関などに保証料を支払うことで、個人(第三者)の連帯保証は必要ありません。そしてこの保証料も、5年間免除(もしくは実質無利子化)で、据置期間(元金の返済が猶予される期間)は3~10年ほどあります。総じて、希望されている以上の内容ではないでしょうか。
これら融資を行っている「日本政策金融公庫(日本公庫)」は、もともと、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫が統合し設立された政府系金融機関です。従って、利子の免除などの優遇措置は、政府の資金によってなされています。そのため、政府から間接的な”補助金”を受けているといってもよいでしょう。
融資の相談は、日本公庫に直接相談されるのが一番確実と思われますが、店舗は都道府県内の主要な都市にしかありません。日本公庫には金融機関としての窓口がないので、実際のお金のやり取りは、JAや地方銀行なの金融機関を通じて行うことになっています。従って、上記の日本公庫に対する融資の相談も、お近くのJAや地銀などの金融機関でも対応してくれるはずです。
また、コロナ対策として、日本公庫以外にも支援資金を用意している都道府県がありますが、それらを使う場合もJAや地銀などで対応してくれます。
JAを通して融資を受ける場合は、JAの正組合員になることが条件になります。Aは協同組合という「組合員のための協同組織」という組織のため、原則組合員以外には融資ができないのです。
正組合員は、基本的に農業者であれば、出資金を支払うだけでよく、JAへの出荷が義務づけられているわけではありません。つまり、直販をしている農家さんも加入できるはずです。出資金額はJAごとに異なりますが、一口1,000円~1万円といったところでしょう。
他にも、最近は地方銀行や信用組合などでも農業融資に力を入れているところが増えたので、積極的に対応してくれる金融機関もあると思います。
田中寛子
税理士・永光パートナーズ
農林水産省は金融機関等に借入の猶予・条件変更などを要請、返済難ならぜひ申出を
新型コロナウイルス感染症により、経営に影響が出ている農林漁業者に対して、資金繰りや施設整備のための資金を、5年間実質無利子、無担保などで貸し付ける金融支援策がとられています。
日本政策金融公庫の「農林漁業セーフティネット資金」「スーパーL資金」「経営体育成強化資金」「農業経営負担軽減支援資金」といったものがありますが、いずれも、3年以内、または3年~10年の据置期間(元金の返済が猶予される期間)が設けられています。
また、農林水産省から各金融機関に対して、新型コロナウイルスの影響を受けた農林漁業者等に対して、適切な金融上の措置(これまで借りたお金に対し、返済を一時止めることを認めてもらったり、返済期間や毎月の返済金額などを変更してもらうこと)をするよう、要請しています。
借入の返済が負担になっている方は、借入をしている金融機関に申し出てみてください。