北関東で、稲作と野菜作りを行っている60代の農家です。
自然環境を守ることを考えて、農薬と化学肥料を使用することなく育てています。
さて、自分の農地と地続きの「畦(あぜ)道」のことでお聞きしたいです。
昔は当たり前のように畦道を使っていましたが、圃場の周りの宅地の開発が進み、いつのころからか使わなくなっていることに気づきました。
畦道は確か、市の土地になっているはずです。
今では「道」のような状態ではないので、境界がはっきりわからない状態なのです。
使ってはいませんが、今後何かのトラブルになっても嫌なので、はっきりさせておこうと個人の土地として購入したいと思っています。
市役所に問い合わせるつもりですが、事前に準備しておくべきこと、調べておくことがあれば教えてほしいです。
(北関東・川上裕之さん/仮名・60代)
井本秀典
いもと登記測量事務所
権利関係は法務局などの「登記所」で確認可能。公図を取得し役所の窓口へ相談を!
まずあぜ道について、正式な権利関係は、登記を取り扱う法務局などの「登記所」で土地の位置や形状を表した「公図」を確認するとわかります。
登記所の公図で赤線で表示されていれば、公共物ながら道路法などの法律の適用を受けない「法定外公共物」である里道、畦畔ということになります。
その場合は、もとが市の所有であれば現在も市所有、国有であれば国有地と推測されます。ただし、調査してみないと正確にはわかりません。
2000年に「地方分権一括法」で法定外公共物の国から地方公共団体への無償譲渡が行われました。
問題のあぜ道は、現状、あぜ道としての形態、利用がなければ譲渡は行われず、形態、利用があるものは市への譲渡が行われているはずです。
しかし、例外もあります。もしその道路に「何番地何」のような「地番」がついていれば、法定外公共物ではなく市道や私有地という可能性もあります。その場合は、その地番の登記記録を見れば所有者がわかります。
それから、市役所への問い合わせの件です。事前準備として、まず「法務局の公図」を取得することをおすすめします。
他には住宅地図やGoogleマップのコピーがあれば、市役所職員が現状の把握がしやすいと思います。
おそらく、市役所でも登記について聞かれると思います。市の管轄でないなら、管轄は国のままと思われるので、管轄財務局または財務事務所に問い合わせることになりそうです。問い合わせ先は教えてもらえると思います。
ただし、ここでどちらが管轄なのかが不明な場合もあり、決定するまでに時間がかかるかもしれません。
また、私有地や昔の村有地だったりという可能性もあります。場所が特定できれば。市役所はそこからあぜ道の取り扱いについて回答できると思 います。
市役所によっては、Webサイトなどで資料を公開している場合があります。事前にチェックしていけば、対応も早くなるでしょう。