menu
Pull to refresh
2021.08.15

市道の農道が荒れ放題。嘆願すれば自治体が整備してくれる?

文字サイズ

拡大 標準

市道の農道が荒れ放題。嘆願すれば自治体が整備してくれる?

うちの畑の真ん中を二分割するように、自治体が管理する4m幅の農道が走っています。しかし、数年前に「いつかは未定ですが、舗装することになりました」という告知があったものの、どうも順番があるらしく、数年間砂利道のままになっています。

ちなみに、うちの畑に接しているのは200mほどの区間で、これまでも「市道」とは名目だけで、市が草取りなどの管理をしているところを見たことがありません。

うちは、なす、レタス、白菜、ネギといった野菜を栽培している専業農家で、農作業のために一年中この農道を使っているため、たまに家族総出で除草をしています。

しかし、夏場などは草に覆われて完全に路面が見えなくなってしまったり、夕立で冠水することもあり危険ですし、200mとはいえ家族で整備するのは結構大変。

自治体に定期的にメンテナンスをしてほしいのですが、市に嘆願すれば対応してもらえるのでしょうか。

それとも、そもそも「農道」という名の通り農作業のために整備した道でしょうから、隣接する畑の持ち主が管理するのが普通なのでしょうか。
(群馬県・鳥羽さん/仮名・50代)

COMMENT

田中克樹

農と風土の学び舎

本来は自治体が維持管理すべきだが、発想の転換も◎

一般的に「農道」と呼ばれる道路は「土地改良法」に基づいた土地改良事業などの各種整備事業によって造成された農業用道路のことを指します。

しかし、市町村単独で整備した道路や、完成後に市町村道や都道府県道として認定された道路は「農道」の区分には入りません。

質問者の話の内容からすると、問題になっている「農道」は土地改良法に基づいた「農道」ではなく、正しくは「市道」であると思われます。

市道は「道路法第8条」で規定される道路です。基本的に市町村が管理者となり、修繕費用の半分は国が補助しますが、雑草の除去や側溝の泥上げのような日常の維持管理に関する費用は全て市町村が負担します。

従って、問題となっている道路も、本来であれば自治体が責任を持って雑草除去などの維持管理を行う義務はあるのですが、昨今の地方財政がひっ迫する中においては、限られた財源をどこに使うかについて優先順位が生じることは致し方のないことと思われます。

その上で、とにかく自治体の担当部署(例えば、前橋市の場合であれば道路管理課工務係)に問い合わせ、事情をよく説明して嘆願するしかないでしょう。

知り合いの議員さんがいる場合には、議員さんを通じて担当部署に問い合わせてみるのも効果があります。

その場合、草で路面が見えないことが原因で路肩から脱輪したり、夕立で冠水したりして危険が伴っているとなると、維持管理の緊急性も高いことから、この辺りの事情は強調してよいと思います。

通常は「農道」として利用されている道路であれば、日常的な維持管理は原則として地元の人たちにお願いしている自治体が多いようです。

近年は、農林水産省が管轄する「多面的機能支払交付金」や「中山間地域等直接支払交付金」を活用して、地元の活動組織や集落組織などの単位で農道の草刈りなどに共同で取り組むところが多くなっています。

従って、質問者が住む地域や、質問者の畑がある地域にこうした組織がある場合には、「農道」として指定してもらって共同で草刈りを行うという方法もあるのではないでしょうか。

以上の方法で解決が難しい場合には、思い切って発想を転換してみるのも手です。雑草は実は貴重な植物資源であり、身近に手に入る堆肥の素材としても最適ですし、刈り取った雑草を畑の畝(畑の土を細長く盛り上げた栽培床)にマルチ代わりに敷き詰めることで、特に夏場は乾燥防止に役立ちます。

さらに、分解される際には肥料としての効果があるだけでなく、土の物理性(耕しやすさ、水はけや水もちの良さ、空気の通りやすさなど)の改良にも効果を発揮します。

このように草刈りは、多少の手間はかかるものの、作物の品質向上にもつながるものです。そう考えると、単に苦しい作業というだけでなく、刈り取る草が宝に思えてくるのではないでしょうか。

シェア

岩崎紗矢佳

弁護士

「市道」と認定されているかを確認しましょう。補助制度を活用できる可能性もあります

まず、農道の位置付けと市のルールを確認し、ルールに則った請求をするのがいいでしょう。仮に、接する畑の持ち主が作業をする場合にも、補助制度などがないか確認することも有用です。

初めに、ご相談の「農道」は「市道」と認定されているものでしょうか。市が所有、管理する「農道」であっても、「市道」と認定されていないものもあります。

「市道」と認定されている場合には、原則として市が維持管理をします。しかし、「市道」と認定されておらず「道路法」の適用が無い場合(いわゆる法定外公共物)には、舗装などは市が行うものの、草刈りなどの日常的な維持管理は、接する畑の持ち主などの地元住民に任されることが多いようです。

もっとも、その場合にも、住民の負担軽減のため、国からの交付金(多面的機能支払交付金など)を活用できる可能性がありますし、独自の補助制度などを用意している自治体もあるようです。

「市に嘆願すれば対応してもらえるのでしょうか」というご質問に対しては、単に「嘆願」するのではなく、まずは、市役所でその農道の位置付け(市道か法定外公共物かなど)と、農道の位置付けごとの市のルール(法令、条例、要綱等)を確認し、そのルールに則って、論理的に、市がやるべきことを求めていくのがよいでしょう。

その農道が法定外公共物であり、草刈りは地元住民が行うこととなっている場合にも交付金などの制度を活用し、負担軽減を図ることができないか検討することをおすすめします。

シェア

Loading...