このたび縁あって、隣町で離農した人が野菜を作っていたという土地を借りることができたため、今年から新たにピーマンを育てることにしました。
しかし、なかなか思うように収量が得られなかったため、JAの営農指導員さんに助けを請うたところ、「土の微生物を増やして発根促進するといいのでは」とアドバイスをもらいました。
土壌中の微生物を増やすと窒素が固定されて栄養素をたくさん吸い上げられることは常識なので「もうちょっと具体的に教えてほしい」と頼むと、「菌力や糖力の向上を目指して土壌を改良したらピーマンの収量が増えたという事例があった」と教えてくれました。
新たに借り受けた土地では、前の農家さんがどんな作物をどんな栽培法で作っていたかわからないのですが、こんな状態でもおすすめの土壌改良方法はあるでしょうか?
(福岡県・松尾さん/仮名・50代)
櫻井杏子
株式会社INGEN 代表取締役
まずは、土壌分析にもとづいた施肥改善、それから発根促進
JAの営農指導員さんにご相談されているので、すでになさっているかもしれませんが、まずは、原因特定のため土壌分析をおすすめします。
だいたいの地域では、お近くの農協さんで格安で受けられるほか、民間でも1検体8,000円程度で受けられます。
土壌の中身がわからないと、何が不足・過剰なのか、あるいは、肥料の問題ではなく、根が伸びにくい環境になっているのかもわからないので、必ず受けてみてください。
話を戻しますと……、収量がうまく上がらないときに、土壌由来で考えられる原因は3つあります。
1)病害にかかっている
2)物理性が悪く、根がうまく伸びない
3)肥料バランスが悪くなっている(が、すぐに改善できない)……ということが考えられます。
指導者さんのコメントを見る限り、おそらく、「窒素等の肥料過剰な土壌」なのではないかと思われます。
このような場合、減肥しても、肥料バランスを取り戻すには数年かかりますから、それまでの間に取るべき対策は発根促進です。
微生物のほかにクエン酸やフルボ酸で根を刺激したり、海藻などに含まれる植物ホルモン様物質で発根を促す方法もあります。
微生物については、植物の根と共生して、根毛と一体となる「菌根」というものをのばす菌根菌や、文中にも挙げられている、硝酸態窒素の代謝を促すような酵素を多く持っている酵母菌、それからすぐに増えて、土壌中の有機物を、植物が吸収しやすい糖・アミノ酸などにかえてくれるバチルス菌などがおすすめです。