4年前に東京から北海道に移住し、現在は夫婦でピーマンを栽培している新米農家です。
就農の際は町の支援制度や先輩農家さんに大変お世話になったこともあり、早く皆さんに安定した供給で恩返しをしたいです。
そのためにも出荷量を予測したいのですが、農業は天候あっての仕事なので1ヶ月先、3ヶ月、ましてや1年先の出荷量は予測できません。
自分は東京にいた時にIT企業で働いていたので、データ化をすればある程度読めると安易に考えていたのですが、まだ就農して数年だし、そんなのあてになりませんね。甘く見ていたことを反省します。
でもざっくりでも、何か出荷量を予測できる方法があるのなら知りたいところ。それによっては、ほかの野菜との複合栽培なども検討できるのではないかと考えています。
(北海道・刈谷さん/仮名・40代)
生駒祐一
テラスマイル(株)代表取締役
ピーマンの収穫量はデータの調査と蓄積である程度予測することは可能です
相談者さんの作型は春から秋か、夏から秋でしょうか。
ピーマンも、土質・環境、雨よけ、マルチの有無など栽培するスタイルはさまざまです。
そのスタイル・栽培手法で過去に育てていた人がどれくらいの量を採っていたかを調査することが「ざっくりでも収穫量を予測する」前提条件です。
次に「自分がいつどれだけの量を収穫したか」という肝の情報を蓄積することが重要です。
収穫量は個数や袋数、箱数、コンテナ数ではなく、日付とキログラムの2つの情報を必ず記録します。もちろん、穂木・台木の品種、播種日・定植日・定植のサイズ(セル、鉢のサイズなど)もメモをとっておいてください。
こうして、過去の傾向(前提条件)と自分の収穫量の傾向(日付・量)がつかめれば、そこに気象状況が影響を与えるという仮説をもって、収穫量の「ざっくり予測」が可能になります。
例えば、いつ何日曇天が続いたときに、何週間後の収穫量に影響が出る、いつの気象は晴れるといきなり出荷量が増加する、などが分かるようになります。予測が難しい時期も把握できます。
有利販売という話であれば、「ほかよりも早く情報を確保して、先に予約・契約・棚を押さえたい」という考えを持たれる方もいるかもしれません。
そういった方の多くは、前述の通り、過去の傾向(前提条件)と自分の収穫量の傾向(日付・量)の情報をもとに、勘と経験と度胸(俗にいう「KKD」)を働かせて、有利販売を行っています。
なお、環境データは、近年の技術では自動的にとることが可能です。数年以内には衛星情報からも精度の高い情報が取れていくことでしょう。
また、ハウスならセンサーを設置することで勝手にデータが蓄積されますし、露地なら気象庁のデータがしっかり残されています。
そのため、温度・湿度を毎日自分で畑まで行って測る必要はありませんよ。