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「インボイス制度」がわからない。課税事業者と免税事業者への影響は?

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「インボイス制度」がわからない。課税事業者と免税事業者への影響は?

2023年の10月1日から、インボイス制度が始まり、売上1,000万円以下の事業者でも、消費税を払わないといけなくなるということを部会の会合で聞きました。

ただ、部会のみんなは、インボイス制度の存在は知っていても、具体的なことは私も含め誰も知らず、結局よくわからずじまいで会合が終わってしまいました。

税務署の相談窓口にも、インボイス制度について聞いてみましたが、正直、専門用語ばかりでわかりません。

うちは専業で規模が大きめのため、売上1,000万円を超えており、消費税は簡易課税で支払っております。

すでに課税事業者である農家にとって、インボイス制度はどのような影響があるのでしょうか。また、免税事業者に関してはどういう影響があるのでしょうか。

わかりやすい言葉で教えていただけると助かります。
(鹿児島県・高田さん/仮名・40代)

田中耕一

田中耕一税理士・中小企業診断士事務所

インボイス方式を導入しても、消費税の課税に大きな影響はないが、登録番号の取得などの手続きは必要

ご相談者さんが、インボイス制度が始まるまでに行うことは次の2点です。

1、登録番号を取得する。
2、お使いの請求書や領収書は、次の事項が登載できるように変更しておく。(早めに)
(1)相談者の氏名(名称)及び登録番号
(2)販売した年月日
(3)販売した農産物
(4)税抜価格又は税込価格を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率
(5)税率ごとに区分した消費税額等
(6)販売先の氏名(名称)

2のケースで追加する必要があるのは、(1)の登録番号、(4)及び(5)になることが多いと考えます。

ご心配の小規模農家への影響ですが、上記のとおり、課税事業者かつ簡易課税には重大な影響はありません。ですが、免税事業者には販売先によって、次のような影響が出てまいります。

販売先別に、それぞれへの影響を見てみましょう。

卸売市場は影響がありません。ただし、出荷者(農家)から委託を受けた受託者(市場)が卸売の業務として行うものに限られます。

農協(共販)は、こちらも影響はありません。ただし、無条件委託方式(出荷した農作物の売値、出荷時期、出荷先等の条件を指定していない委託販売方式)かつ共同計算方式(一定期間に農協等が販売した農作物の種類、品質、規格等ごとの平均価格を元に精算する方式)によるものに限られます。

道の駅や直売所はインボイスを発行するのは道の駅、直売所ですが、その発行には農家の登録も義務づけられています。そのため、道の駅・直売所から登録番号の提供を求められると思われます。なお、登録番号を取得するということは、課税事業者を選択したことになり、消費税納税の義務が発生します。

課税事業者である小売店、飲食店などは、登録は義務ではありません。ですが、小売店・飲食店等は、同じ付加価値の商品であれば、登録番号を取得した課税事業者(農家)との取引を選択することが予想されます。課税事業者と取引した方が、税金等でメリットがあるためです。

なお、登録番号を取得するということは、課税事業者を選択したことになり、消費税納税の義務が発生しますので、その点を留意する必要があります。

消費者、免税事業者は一般消費者や、免税事業者相手の取引であれば、影響はありません。

上記のとおり、インボイス制度は、売上1,000万円以下のいわゆる免税事業者さんが、消費税を支払うか、そことの取引を止めるという影響を受ける制度で、既に課税事業者かつ簡易課税であれば、登録番号の取得や請求書・領収書等の記載の変更を行えば十分です。

仮に課税事業者を選択した場合でも、あわせて簡易課税を選択すれば、一般的には負担が軽減されることが多いです。

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