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AIが漁場を教えてくれるという「トリトンの矛」とはどんなものですか?

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AIが漁場を教えてくれるという「トリトンの矛」とはどんなものですか?

北陸で水産関係の仕事に就いています。地域の水産業の活性化のため、やりがいを感じながら仕事を頑張ってきましたが、最近危機感が強くなってきました。

きっかけは、「スマート漁業」を扱ったテレビ番組です。その中で、AI(人工知能)で漁場を教えてくれる「トリトンの矛(ほこ)」というソフトが紹介されていました。内容は、「ベテラン漁師の知識と経験をデータとして集約し、漁の効率を向上できるようになる」といった内容だったと思います。

考えてみると、漁師の世界の教育は「習うよりも慣れろ」で、時代遅れです。そのため、漁師になろうとする人が少なく、世代交代が進まないのです。

とはいえ、漁業の深刻な人材難の中で、技術や経験を後の世代に伝えていくには、新しい技術に頼っていくべきだと考えています。

漁協や関係機関などにも働きかけ、連携しながら新しい試みができれば良いのですが、トリトンの矛はどういったものなのでしょうか?
(福井県・坂本敦さん/仮名・46歳)

水上陽介

オーシャンソリューションテクノロジー株式会社

トリトンの矛は、効率的で生産性の高い漁業の実現や、若手漁業者への事業継承などを目的としたアプリです

ご質問者さんのおっしゃる通り、私どもも漁業就業者数の減少と高齢化の進展は、ベテラン漁師が保有する経験や技術をいかに後継者に継承するかといった課題をはらんでいると思います。

同時に、海洋環境の変化に伴って資源状況は悪化の一途を辿っており、水産資源も次の世代へ引き継いでいくための取り組みが求められています。

また、日本の漁業は生産性が低く、収益を向上し漁業を魅力ある仕事としなければ、そもそも技術を継承する相手がいない、という課題が解決されないのではないかと思います。

そこで、資源の持続と事業承継、生産性、収益性の向上といった、今までの水産業の在り方からすると相反するような課題を解決するために「トリトンの矛」というサービスを開発しました。

「トリトンの矛」は、全国約20万隻の漁船と、それに携わる漁協、自治体や研究者を主な利用対象としているサービスです。

スマートフォンを使用し、手書きの過去の操業日誌を取り込み、データ化することで、長年蓄積されたベテラン漁師の経験や技術・勘を可視化することができます。

つまり、効率的で生産性の高い漁業の実現と、若手漁業者へのスムーズな事業継承、そして操業日誌のデータ化を目的としたアプリなのです。

具体的には、過去の操業日誌データと海洋気象情報によるAI解析で個別に判断させ、先代のベテラン漁業者であれば向かうであろう場所、過去によく獲れた場所、あまり獲れなかった場所をデータで提示させることで、無駄のない最適な漁場選定・生産性の高い漁業が実現できます。

また、弊社では、漁業者からお預かりする操業日誌は、漁業者にとって先代から受け継いできた宝であり財産であると考え、個別に厳重に管理しております。

操業日誌をもとに、個人のばらつきをあえて残しているので、同じ学習データをもったAIはなく、世界にたった一つしかないベテラン漁師の分身です。

これまで手書きされていた日々の操業情報を「トリトンの矛」に入力すると、同時に電子化されます。

それによって、データ化に数日がかりとも言われている漁獲報告書の作成や自治体・国への報告など、水産業に携わる方々の事務処理負担を軽減させることが可能となります。

スマート漁業への第一歩として、漁業者の皆さんが現在手書きされている操業日誌を電子的に残していくことが、スマート漁業への移行をスムーズに実現させると思います。

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