佐賀県で野菜を生産する農家の60代です。
温暖な気候と、ミネラル豊富で豊かな土壌が自慢で、玉ネギやにんじんなどがすくすくと成長しています。
日々の農作業や出荷はほとんど一人でこなし、帳簿付けなどの事務までしています。
繁忙期だけは、息子らが手伝ってくれるため助かっています。
まだガタがくる年齢ではありませんが、もし自分が病気やケガでもすれば代わりを務める者はなく、いっかんの終わりだと気付きました。
これまで、家業はいずれ子供や親族に引き継ぐものと思っていましたが、新規就農したい若い方で意欲的な方がいれば、そういう方への承継もいいかなと考え始めました。
そこで、技術や経営を少しずつ覚えてくれる研修生や新規就農希望者を探し、どなたかいい方がいれば、まずはお試しで一緒に働いてみたいです。
どうやって知り合えばよろしいのでしょうか?
(佐賀県・中村義行さん/仮名・60代)
伊東悠太郎
水稲種子農家
第三者への承継を探りつつ、息子が継がない意志をしっかり確認しておく
近年、親族や従業員以外にバトンパスをする「第三者承継」が注目を浴びています。良いことですが実際は困難が多く、そもそも後継者不在農家と新規就農(希望)者が出会う仕組みが確立していないことが要因です。
現実的には、地域の農業改良普及センターやJA、市区町村、農業委員会に対し、第三者承継の希望を伝え、紹介を依頼しておくことが第一歩です。
また、全県に農業経営相談所が設置され、事業承継の相談に乗ってくれます。その際はご自身の経営概況をまとめて、新規就農(希望)者に求める条件を明確にしておくとスムーズに話が進むと思います。
最後に、第三者承継でよくあるのが「第三者との話し合いを始めた後で、子供や孫が継ぐと言い始める」ことです。今回の相談者の方も息子さんが手伝っておられるようですが、「継ぐ意志がない」とはっきり確認しておく必要もあります。