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酪農農家ですが後継ぎがいないので、事業の一部を売却したい。どこに相談すればいい?

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酪農農家ですが後継ぎがいないので、事業の一部を売却したい。どこに相談すればいい?

北海道の十勝で、祖父の代から酪農を80年間続けてきました。

最初は家族経営の小さな農家でしたが、じょじょにホルスタインの数を増やして、今は飼養頭数が250頭の酪農法人になりまました。

50haほどある牧場には、乳搾りやバター作りを体験できる施設や、滞在できるファームステイの施設なども充実しています。

しかし、私も60代になりまして家畜相手の仕事がつらくなり、跡を継いでくれる息子や娘もいないため、事業の一部を近隣の同業者に売却して、酪農の仕事からは足を洗おうとしています。

売却先を探すにあたって、どこに相談すればいいのか、教えてください。
(北海道・鈴木さん/仮名・60代)

加藤武市

加藤技術士事務所

まず農業改良普及センターの農業改良普及員に相談しましょう

まずは、最寄りの「各振興局農務課」および「農業改良普及センター」に相談をするのが良いと思います。最寄りの農業改良普及員も経営についての相談を業務としており、前向きに相談に応じてくれます。

「事業を一部でも企業や同じ商圏内の事業者に売却したい」ということですが、注意点、税務上問題等を含めて「公的な機関からのアドバイス」で解決されるのが最善です。

相談者さんは、酪農の経営を最も知り得ていると思う最寄りの農業改良普及員に相談してみて下さい。

また、農業経営に関する相談(農業経営相談所)は、各都道府県にも整備されていて、第三者に引き継ぐ予定も含めて相談に応じています。法的にも経営的にも、税理士、経営コンサルタントにサポートしてもらえるので、各県に置かれている農業経営相談所に直接相談することができます。

北海道の場合、「北海道農業経営相談所 」があり、Webサイトによると、専門家による無料の個別指導を行っています。農業経営相談所には、農業分野の指導経験が豊富な中小企業診断士、社会保険労務士や税理士などが登録されているようです。

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大場寿人

三宅坂法律事務所 パートナー

まずは事業の引き継ぎ先を探しましょう

廃業する場合、最初に考えるのが、
1、支払手形、買掛金、借入金などと言った金融債務などにあてる返済資金にくわえて、
2、廃業後のご自身の生活資金の確保のほか、
3、残った農地などの資産の処分、
4、従業員の退職金などの処遇
5、取引先への影響など、さまざまな問題があります。

問題解決には、何よりも先に事業を引き継いでくれる承継先を探すことが重要。事業承継は各都道府県やさまざまな団体が支援を行なっていますので、まずはこうした公的なサービスを利用して、これまで育んできた事業で積み重ねた資産や取引先、経営ノウハウをより良い条件で引き継いでくれる承継先を探してみてください。

次に必要なのは、法律的な視点から考えることです。第三者に事業を引き継いだあと、相談者自身が生活するために必要なお金を確保できるか?予想していなかったリスクを背負わないか?承継後に承継先から損害賠償請求されることはないか?などといったリスクに備えて、考えておく必要があります。

特に、株式会社などの法人形態の場合、代表者が会社の債務の連帯保証人になっていることも多いと思います。

その債務も一緒に引き継ぐのか、また、代表者や親族からの貸付金・借入金がある場合、その処理をどうするのか、これまでの取引先とのさまざまな契約や約束事項の整理、名義株(名義人と本当の所有者が異なっている株式のこと)の問題、補助金関係の制約、従業員の給料や労働条件など、法的な課題が少なくありません。

素人判断で取引することはのちのちの紛争リスクを残す可能性が高いので、気をつける必要があります。そのため、それなりの規模の事業を営んでいる場合、弁護士などの専門家に調査、交渉、契約を依頼することをおすすめします。

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