これからは農家も自分で情報発信することが大切だと思い、Instagram(インスタグラム)、Facebook(フェイスブック)、YouTube(ユーチューブ)のアカウントを作りました。
しかし、作物の成長などを日記みたいに投稿し始めて3カ月が経つものの、友達しか見てくれずフォロワーはまったく増えないし、手間ばかりかかって心が折れそうです…。
野菜農家なので、「野菜好きの消費者がフォロワーになってくれれば、やがて直販できるようになって儲かるはず!」という思いで始めたのですが、考えが甘かったようです。
もしかすると「日記」のような投稿内容が悪いのか、さらには投稿するタイミング(いつも作業が終わる夕方に投稿しています)が悪いのかもしれません。
しかし、それを判断する方法もわかりません。
そこで、効率的にフォロワーを増やす方法をぜひご教示いただきたいです。
もし業者に代行してもらえばフォロワーも増やせるなら、費用感もわかるとうれしいです。
(群馬県・片貝さん/仮名・30代)
村瀬雄太
ファームコネクト
見込み客を徹底的に研究し、数値にもとづいて改善を!
SNSでフォロワーを増やすには、「見込み客について研究すること」と、「数値をもとに改善を重ねること」の2点が大切です。
そのためにはまず、「自分の農園の見込み客はどんな人なのか?」を具体化する必要があります。
質問者さまは見込み客を「野菜好きな人」と表現されていますが、「安価で手軽なスーパーではなく、わざわざ農園の作物を購入してくれる人を集めること」が目的である以上、「野菜(食材)に人一倍こだわりがある人」という表現の方が想像しやすいかと思います。
では、「野菜(食材)にこだわりのある人」はどんな人でしょうか。
料理好きな人?健康に気をつかっている人?それとも人一倍美味しいものが好きな人?
いろいろ考えられますよね。こういった要素を考えられる限り、紙に書き出していき、そのなかから「自分の農園と相性のよい人」を集めるのです。
もし質問者様が低農薬栽培をしているなら、見込み客の要素のなかでも特に「健康に気をつかっている人」と相性がよいことが想像できます。
あるいは、朝採れの作物を販売しているのが特徴であれば、「人一倍美味しいものが好きな人」と相性がよいかもしれません。
こうしてどんどん思考を掘り下げていって、見込み客を絞り込んでいき、その人たちはどんな話題が好きなのか、どんな時間帯にスマホを見るのかを連想ゲームのように考えていくと、自然と投稿すべき内容が定まってくるでしょう。
例えば、健康に気をつかっている人をさらに深掘りして「家族に安全なものを食べさせたいと考えている主婦」を見込み客として集めたいとします。
すると、安全な作物を栽培するために行っている工夫をSNSで発信したり、農園の野菜を使ったレシピを投稿したりするとウケがよさそうですし、家事をしていそうな時間帯は投稿を避けた方がよさそうだということも判断できます。
このように、自身の農園の見込み客を「具体的」に考え、それに合わせた投稿をするのがベストです。
もちろん、いきなり完璧な投稿はできません。さまざまな投稿をして、そのなかから反応が良い投稿を探す必要があります。それが次でお伝えする「数値を元に改善を重ねる」です。
次に「数値をもとに改善を重ねる」についてですが、投稿した内容に対する反応の良し悪しは「数値」をもとに判断していきます。
すべてのSNSには分析機能がついているので、「感覚」や「何となく」ではなく、必ず数字を基に判断していくことが大切です。
分析ツールの利用方法については「〇〇(SNS名) 分析」でネット検索すると簡単に見つけることができますよ。
どんなに実績があるマーケティングのプロだとしても、いきなり完璧なSNS運用はできません。プロは「SNS運用のプロ」というよりは、「データをもとに改善するプロ」であり、常に数字をもとに改善を重ねています。
「改善を重ねる」と聞くと面倒に聞こえるかもしれませんが、最初は大変でも徐々に慣れていき、次第に数値を見ればどのように改善すればいいかがわかるようになります。
「こんな投稿なら喜んでもらえるんじゃないか?」「もしかして、この曜日のこの時間に投稿するのが一番反応されるんじゃないか?」といった予想が当たったときの喜びはひとしおですよ!
ここからは、SNSを運用する際の注意点です。実は、SNSへの投稿を続けていくうちに、目的が「直販で稼ぐこと」から「フォロワーを増やすこと」へと変わってしまう農家さんが少なくありません。
しかし無闇にフォロワーを増やしても売上は伸びず、むしろ変な人を寄せ付けてしまうのがSNSの怖いところですので、くれぐれもご注意ください。
極端な例ではありますが、「購入に繋がらないフォロワーを100人集める」のと、「購入してくれそうな人(いわゆる見込み客)を10人集める」のとでは、後者のほうが儲かります。
「稼ぐこと」を目的としている場合には、「フォロワーは少なくても構わない」ことを忘れないように運用していくとよいでしょう。
ちなみに、メディアへの露出をひとつの目的としている場合には、フォロワー数が多い方が有利です。つまり、目的次第で運用の仕方が変わるということです。
SNSは、改善を重ねつつ継続すれば次第に運営が楽になっていくだけでなく、売上も指数関数的に増えていきます。
お客様から購入した作物の感想が届くようにもなるので、日々の作業にやりがいが生まれますし、純粋にコミュニケーションツールとしても楽しめるようになっていくはずです。
「売ろうとする」のではなく「買いたくさせる」ことが大切かもしれませんね。頑張ってください!