農地の倉庫を整理した際に、10年前に購入した除草剤を見つけました。
いつも農薬や除草剤などは使い切るようにしていたのですが、この除草剤は使い切ることができず、そのまま置きっぱなしに。
除草剤は粒状のもので、1kgの袋のうち1/3程度中身が残っています。
有効期限は4年間と表示されており、とうの昔に切れてしまいました。
一般的な除草剤と同様、袋には取扱注意で「散布の際は農薬用不浸透性手袋、長ズボン・長袖の作業着などを着用するように」と記載があります。
捨て方については特に記載がありません。
有効期限の切れた除草剤をこのまま倉庫に眠らせる訳にもいかず、取扱注意のものですし、早く処分してスッキリしたいです。
散布時に注意を払うものなので、処分の際にも何か特別な注意が必要だと思いますが、このような古い除草剤はどのように処分したらよいでしょうか?
(秋田県・丸山健吉さん/仮名・60代)
松淵定之
農薬工業会 安全広報部
使用期限が切れた農薬は「産業廃棄物」として適切に処分しましょう
農薬を破棄する際には、使用時と同様に十分注意して、適切に処分する必要があります。世の中にあるすべてのゴミは廃棄物と呼ばれ、「一般廃棄物」と「産業廃棄物」に区分されます。
家庭からの廃棄物は「一般廃棄物」に、農業を含む飲食店や百貨店などの産業活動から出される廃棄物は「産業廃棄物」または「事業系一般廃棄物」に分類されます。
使いきれなかった農薬をやむを得ず捨てる場合は、家庭から出すゴミとは方法が異なりますので、適切に処分するようにしましょう。
産業廃棄物の処分方法は、個々の農家さんのお住まいや、廃棄物の状況によって異なります。ご相談者がどのケースにあたるのかについては、処分業者だけではなく、市町村や地域で行われている制度を調べてみて下さい。
処分方法はいくつかありますが、まずは廃棄物処理業者に依頼する場合、都道府県や政令指定都市から許可を受けた廃棄物処理業者に処理を委託します。廃棄する農薬の名称・量の情報を処理業者に正確に伝えて処分してもらって下さい。地域によっては、農薬を共同回収・共同処分する体制が整っている場合もありますので確認してください。
処分方法が分からないときには、市町村のゴミ処理所轄部門に相談する方法もあります。役所に処分方法を相談した場合、事業活動に伴って出される紙ゴミなどであっても、事業系一般ゴミであれば集積所には出せません。「事業系ゴミの処理許可業者に処分を依頼するか、それぞれの事業者がクリーンセンターに直接搬入してください」、また産業廃棄物であれば「産廃処理業者に依頼してください」などといった回答をいただくことになると思います。
また、産業廃棄物を誤って一般廃棄物として処分すると、不法投棄として処罰の対象になることもあります。こういったトラブルを避けるためにも、農薬を購入する際には、有効期限内に使い切ることができる量を心がけるといいと思います。