就農して10年ほどになる女性農業者です。
現在はビニールハウス6棟でトマトやベビーリーフなどを育てています。
ハウスはお金がなかったので、中古で入手したものですが、先日、台風によってハウスがつぶれてしまいました。
3棟は完全に壊れてしまったので保険で建て直そうと考えています。
被害が軽かったハウスは購入した業者さんに相談しようと思ったのですが、その業者さんはすでに廃業してしまい連絡がつきません。
そこで、今後の経験として自力で補修しようと考えています。
被害の状況はフィルムの破れ、そして数本のアルミパイプが折れ曲がって歪んでいる状態です。
フィルムは補修テープでなんとかなりそうですが、問題はパイプです。
例えばハンマーで叩いて形を整え、副え木で補修すればいいののでしょうか?
それとも折れ曲がった部分を切断し、プラスチックのパイプで接合する方がいいのでしょうか?
必要な道具や補修の方法を教えてください。
(宮崎県・山下さん/仮名・30代)
小沢 聖
明治大学黒川農場
曲がったパイプの強度は元に戻らないので、交換するしかありません
一度曲がったパイプは元の形に戻しても、強度は元には戻りません。
残念ですが、せいぜい作物を支える支柱くらいにしか使えません。
仮に形を戻して副え木で補修しても、気休めになるだけです。
似たような自然災害が起きた時に、今度は全壊する危険すら出てきます。修理代を節約することでさらに被害が大きくなることもありえます。
お気持ちはわかりますが、安全のためにも折れ曲がったパイプは交換してください。
国などでは自然災害によって被災された農林漁業者に対して支援を行っています。もちろんハウスの再建や補強などのサポートもあります。まずは確認してください。
渡辺パイプ株式会社 グリーン事業部
渡辺パイプ株式会社
直線部分なら口径違いで接続可能。場合により新しいアーチの再現もできます
台風に伴うビニールハウスの被害、まずは心からお見舞い申し上げます。
弊社の事故分析データによりますと、ビニールハウスの被害は風害によるものが8割を超えております。
なによりもお住まいの地域に応じた風害対策が重要となってきます。
立地条件により風の方向や加速に変化が起こり、ビニールハウスを押したり引っ張る力により被害の状況は異なってきます。
台風被害が多くなる9月から10月、そして春先の強風が吹く4月の時期の前に対策されることが大切です。
さて、ご質問のパイプの補修についてですが、直線部分であれば物理的にはパイプカッターで切断し、口径違いのパイプで接続し、ビスで固定する事は可能です。
パイプの太さにはいくつかの種類がありますが、外径が22.2ミリ径でしたら25.4ミリ径で、25.4ミリ径でしたら28.6ミリ径といったように、ひと回り大きなパイプを接続します。
しかし、折れ曲がったパイプは強度が著しく落ちてしまっている可能性が高いため、やはり新しく作り直すことをおすすめいたします。
また、被害を受けたパイプを見本として持ち込んで頂ければ、それに近い形に曲げるといった加工が可能なケースもございます。
似たような形のアーチを作成できれば、被害を受けたパイプだけを交換することが可能となります。
まずはお近くの弊社営業所へご相談ください。なによりも被災する前の予防や防災が大切です。
壊れてからでは遅いので、既存のビニールハウスの補強についても検討頂ければと思います。