夏は温暖、冬は冷涼な地域でほうれん草や小松菜、長ネギなどを栽培しています。
メインはピーマンの「みおぎ」を育てていて、春ピーマンと秋ピーマンだけではなく、温室ピーマンも栽培しています。
いま頭を悩ましていることは、燃料費です。今後も燃料費が上がっていくのではないかと、心配しています。
そこで、できるだけ低コストで加温(保温)できないかと考えています。
新たな暖房機を購入したり、大規模な工事をするのではなく、できるだけ簡単な方法で暖房効果をアップさせたいです。
いまのところ、天蓋(てんがい)のように透明なシートをハウスの天井の内側に垂らしたり、保温シートのようなものをマルチのように張ってみることぐらいしか思いつきません。
大きなコストはかけずに燃料費を節約したいのですが、アイデアをいただけないでしょうか。
(茨城県・野口さん/仮名・30代)
泉州電業
泉州電業
消費電力が約半分になり、収量アップも期待できる方法をご紹介します
ハウス栽培で暖房費用を削減するには、空間全体を加温するのではなく、土壌や培地だけを局部加温する省エネ栽培方法があります。
省エネ栽培には一般的に電熱線が使われますが、私どもは電熱線よりさらに少ない消費電力で加温できる「アビルヒーター」を独自に開発いたしました。
特殊な加工で発熱効率を高めているので、一般的な電熱線に比べて約半分の電力で同程度の発熱効果が得られます。
これは幅12ミリの薄いステンレス製のテープを髪の毛くらいの厚みのシリコンで覆った資材です。折り曲げに弱い電熱線とは異なり、柔軟な素材なので巻きグセがつきません。
さらに紫外線や風雨、農薬や化学肥料にも強いため、刃物などで意識的に傷をつけない限り、何度でも半永久的に使えます。
現在は愛知県や大阪、京都を中心に導入する農家さんが増えています。大気汚染の関係から化石燃料を使った暖房の使用が禁止されている中国・北京の農場でも実証実験が行われています。
さらに名城大学の研究者と共同で、アビルヒーターだけでハウス内を加温する生育実験をおこなった結果、地中加温は根のまわりを温めるだけでなく、植物が地下から温められた水を吸い上げることで植物全体が温められて成長が促進され、収量アップにつながることもわかりました。
実際に京都市綾部区の「夜明けのポポー合同会社」さんは、栽培ベッドを高くする高設栽培で万願寺とうがらしを育てていますが、同じハウス内でアビルヒーターのある無しで3カ月間にわたって実験したところ、アビルヒーターで加温した圃場では収量が43%もアップしました。
敷設は簡単です。温度制御を行うコントローラーにヒーター、アビルヒーター線をつなぐだけです。
ハウス内に設置するコントローラーの配置は電気工事業者が行いますが、アビルヒーターの設置は農家さんご自身にお願いしています。
ご要望があれば私どもが配線計画を立ててお見積りを取らせていただきます。
導入コストにつきましては、ハウスの規模や作物を内容で変わってきますので一概には申し上げにくいのですが、先ほどの万願寺とうがらしの農家さんは、畝の総延長300メートルに導入した初期費用(約110万円)が、2年間で採算がとれました。
いままでボイラーで加温していた農家さんにとっては光熱費削減はもちろん、火災事故の心配もなくなります。また、自治体の補助金などを活用することも可能です。