青森県広前市の田んぼに囲まれた農地で、ピーマン農家を営んでいる30代です。露地栽培で広さは30アールほどの広さで、今年で3年目になります。
毎年7月ごろになるとピーマンの実の下部が腐ってしまい、およそ500kgものピーマンを廃棄している状況です。
地元の農協に相談したところ、予防策は水とカルシウムを与えるしかないということです。
しかし、農協から貰った栽培マニュアルに記載してある量の水とカルシウムを与えても発症してしまい、念のために1.5倍や2倍の量を与えてみても発症してしました。
ピーマンを栽培して1年目の農家さんでは、尻腐れが多発したことで、ピーマン栽培を辞める人が多いと聞きます。
しかし、私はピーマンが好きなので、ピーマン農家でこのままやっていきたいと思っています。ピーマンの尻腐れが発症しなくなる方法があれば、教えていただきたいです。
(青森県・吉田さん/仮名・30代)
鈴木光一
鈴木農場・伊東種苗店
ピーマンのカルシウム欠乏に注意しましょう!窒素過多も一度確認を
ピーマンのおしりが腐ったように黒くなるのは病気とよく間違えられますが、実際にはカルシウム欠乏が原因で起きる生理障害です。
質問者さまのように農協のマニュアル通りにカルシウム系の肥料を圃場に撒いているのに効果がないということは、根っこからカルシウムが吸収されていない、つまり根張りが悪いのが原因とみられます。
カルシウムの吸収が阻害されるもうひとつの原因として、土壌の窒素バランスが悪い窒素過多が考えられます。
長期にわたってピーマンを栽培していると、畑に窒素を含んだ肥料が過剰になっている可能性があります。
一度、元肥のバランスを見直して窒素過多になっていないかを確認してみると良いでしょう。
私の農園では葉っぱからカルシウムを吸収してもらったほうが効率が良いので、実がつく前の早い段階でカルシウム剤を定期的に葉面散布しています。
また、土壌分析の必要性についてですが、そもそも土壌分析というのは土壌に含まれる主に化学性を分析するものです。
質問者さまのケースは根張りが悪くカルシウムを吸収できないという物理的な面と関係するため、土壌の化学性と物理面の両面から考えていく必要があります。