最近、農家に嫁ぐ外国人女性が増えたように思います。
周りでも、外国人女性と結婚してとても仲良く幸せそうに過ごしている夫婦をよく見かけるようになりました。
私も30代になり、跡継ぎのことも考え結婚を前提にお付き合いできる方を探し始めたのですが…。
いままで幾度となく結婚相談所で日本人女性を紹介してもらいましたが、なかなかお付き合いするまでに発展しませんでした。
そこで、私も国籍を絞らず外国人女性と結婚したら幸せな家庭を築けるのではないかという思いにいたりました。
幸いなことに、フィリピンの方と気が合い現在お付き合いしています。
明るく朗らかで、農家の手伝いもよくしてくれます。
上手くいけば、このまま結婚したいと考えていますが、フィリピンの文化や生活は全くの未知数です。
外国人女性と結婚するにあたり、何か弊害となることはあるのでしょうか?
例えば、嫁いでもらうための移住手続きや実際の結婚生活に置いて、何か困ることはあるのでしょうか?
彼女を幸せにするためにも、ぜひ教えていただきたいです。
(鳥取県・鈴木直也さん/仮名・30代)
小川繁幸
東京農業大学 准教授
自分自身の魅力と農家としてのビジョンを自分の言葉で語れるように!
農村では出会いの機会は限られてしまいますよね。しかし、農業という素敵な仕事をされていますので、ご自身の魅力を理解してうまく発信すれば国籍を問わず、いろんな方と出会うチャンスを作れるのではないでしょうか。
現在はマッチングアプリを活用して、恋愛や結婚をするカップルも珍しくありません。従来よりも手軽に知り合えるツールを上手に取り入れてみるのもいいかもしれません。
まずは相手に自分を知ってもらうためにも、自分自身の魅力を知ることはとても大切です。
特に海外の女性は自らのアイデンティティを大切にしていますし、パートナーにも求める傾向が強いです。
仕事に対する思い、生活していく上で大切にしていることなど、自分自身がどんな人間であるかを改めて見つめ直すことは、単に婚活や出会いの場だけでなく、農作物の販売にも役に立ちます。
同じ作物を作る農家はたくさんありますが、どんなこだわりを持って作っているのか、他の農家と何が違うのかなど、自己分析が必要です。
また、女性は言葉や文字で表現し、伝えることで共感します。日本には比較的、言葉がなくとも空気を読むという文化がありますが、海外では言葉にするということがとても重要視されます。
普段、作物や家畜と言葉を使わずに対話をしている寡黙な農家ほど言葉や文字でのコミュニケーションは苦手なのではないでしょうか。
苦手ということであれば、上手に表現してくれる友達や第三者(マッチングコーディネーターなど)を活用して、まずはプロフィールを作成されると良いと思います。
より素敵な農家になるために、どんなキャリアビジョンを持っているのか、そのためにどのようなことに日々取り組み、活動しているのか。そんなビジョンをしっかりと自分の言葉で語れる農家はとても魅力的です。
また、どうしてパートナーを求めているのか、自らのキャリアビジョンを描く中で、その理由をきちんと考えられること、相手に伝えられることが大切です。
最後に、海外の女性と出会うためには、相手をきちんと理解して寄り添う努力を常に続ける覚悟が必要です。
外国人の方をパートナーにされた農家のお話しを聞くと、やはり苦労されているのは文化の違い、そして地域の方々とのコミュニケーションです。
もし、海外の女性とお付き合いし、結婚した場合、彼女が頼ることができるのはパートナーのあなただけです。
言葉、生活習慣、思想、何もかもが異なる中で、家族や親族、地域の方々とのすれ違いが生じてしまうこともあるでしょう。そんな時に言葉を通訳したり、誤解を解く努力することはあなたの役割です。
異国の地に嫁ぐという大きなハードルを飛び越えてあなたとの結婚を選んでくれるのですから、相手に変わることやこちら側に合わせることを強要する前に、まずはあなたが歩み寄り、相手を理解するための努力を怠らないことが大切ですよ。
舟山 学
株式会社Q.E.D.パートナーズ 代表取締役
パートナーの国民性と季節文化を理解し、自分から歩み寄る姿勢を!
国際結婚には、日本人同士の結婚では考えられないようなトラブルもあったりするものです。言葉や文化の違いを乗り越えて嫁いでくれる奥さまを幸せにするためにも、ぜひ覚えておいてほしいことをご紹介します。
まず、国際結婚を取り扱う結婚相談所を運営している目線でお話しします。
ご成婚される際の第一歩として外国人のお相手が日本、そして母国の法律において婚姻できる状態であることが重要です。
日本の結婚相談所では、登録者は必ず「独身証明書」を提出しなければなりませんが、外国にはそのような書類はなく「母国内では実は結婚していた」というトラブルが起こる可能性もありますのでご注意ください。
国籍は関係ないことではありますが、結婚生活はお互いを尊重することがとても重要です。
異国の地へ嫁いでくる奥様をしっかりサポートしましょう。言葉や文化の違い、生活様式の違いや食生活など、お相手はあなたよりもっと不安なんだということを忘れてはいけません。
今までとは違う新しい文化に慣れるのには、時間がかかります。同じように日本に嫁いだ外国人のパートナーを持つ知り合いを作るなど、奥様が悩みを共有できる場所を作ってあげると良いでしょう。
また、パートナーの国民性や独自の季節文化についての理解は非常に重要です。事前にきちんと把握しておけば、結婚後に「こんなはずじゃなかった」と思わずに済むかもしれません。
例えばタイ人の女性は、目上の人を尊重して家族思いであるため、日本人から見て非常に親しみを感じます。
さらに細かいことを気にしない特有の風土が、より親しみやすさにつながっているようですが、そんなおおらかなタイ人女性をかわいらしいと感じる一方で、時間にルーズ、飽きっぽい、叱るとすぐ泣くなど、日本人から見ると子供っぽいと感じることも多い傾向にあります。
また、日本でいうお盆や正月のように帰省する季節が世界各国にもそれぞれあり、時期も国によって異なります。状況にもよるでしょうが、奥様が帰省を希望されたら、くんであげることも国際結婚の夫婦円満の秘訣ですよ。
「郷に入っては郷に従え」という日本ならではのことわざもありますが、結婚生活——特に国際結婚においてそれは禁物。
国民性や季節文化の違いをよく理解したうえで、大人の対応を心がけることが大切です。これらのことを心に留め、パートナーの方と幸せな家庭を築かれることを願っています。