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保育園で食育ボランティアをすることに。何をしてあげればいい?

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保育園で食育ボランティアをすることに。何をしてあげればいい?

群馬で、親の代から2代にわたり野菜農家を営む50代です。孫が通っている近所の保育園から「食育のために園内にプランターを置いて野菜を育てたいので、野菜づくりのプロの視点から栽培方法のレクチャーをしてほしい」と頼まれました。

初めて育てる人でも分かるように、なるべく簡単な防除暦(肥料をやってほしい時期や、虫の発生が予想される次期などを書き込んだもの)を作って渡そうと思うのですが、ほかにはどんなことをしてあげればよいでしょうか。

保育園では、先生と毎日違う園児が当番制で水やりをする予定でいるようですが、安全面を考えると農薬は使用できなそうなので、虫がつかないように何か手立ては考えなければいけない気がしています。

また、これは保育園との相談になりますが、私としては一週間に1度くらい訪問すればいいかなと考えています。初めての経験なので、ほかにどんなことをしてあげればよいのでしょうか?
(群馬県・矢部さん/仮名・50代)

松田恭子

株式会社結アソシエイト 代表取締役

酢で安全に虫よけを。事前に簡単な言葉で説明してあげて

お孫さんが通っている保育園で、野菜のプロであるおじいさまが野菜を育てるのですね。なんと素敵な食育をされているのでしょう。

「園児たちに安心・安全な防虫剤」としてすぐに思い浮かぶのは、食酢を水で薄めてスプレーすることです。

濃度が高すぎると育てている野菜を枯らしてしまう恐れがありますから、まずはご自身が育てている野菜に散布してみるなどして、適切な濃度になるよう試されたほうがよいでしょう。

水稲への散布なら2.5%くらいの濃度でも枯れないようですが、野菜に適用する場合は400倍くらいに薄めたほうがいいです。

また、子供たちが植物のお世話をするときによくやってしまう失敗例として「水のやりすぎ」「肥料のやりすぎ」があります。どちらも野菜によって適切な量とあげる回数がありますので、最初にそのことを子供たちにもよくわかる平易な言葉で説明してあげるとよいですね。

野菜づくりの食育は、子供たちにとっても質問者にとっても良い機会となるはずです。週に1度訪問したときには、野菜の成長や必要な栄養についてプロの視点を交えて楽しく教えてあげてください!

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竹村久生

食育ボランティア

「食べるゴール」を全面に打ち出した野菜作りをしよう

幼児向けの食育として野菜を栽培する際の注意点をお答えしたいと思います。

1つ目は「園内の栽培状況や現状を知る」。まずは保育園内の状況を把握することが大切です。「園内にプランターを置いて野菜を育てたい」という部分ですが、すでに畑や花壇などがあって野菜を作っているということでしたら、それらとプランターを使った栽培を考えた方がよいですね。

設置したいプランターの大きさはどれくらいでしょうか。花用の一般的な大きさのプランターを使用するなら、根を張る深さが浅くなってしまうため、育てられる作物が限定されてしまいます。初心者でも育てやすいのは、葉物類か、根菜類ならコカブ、果菜類なら枝豆あたりになるでしょう。

2つ目は「園児の実態に合わせた指導をするように心がける」。食育として野菜を育てる場合に大切なのは「出合い」、つまり園児のやる気や興味をかき立てるような導入をすることが大切です。

園児が大人の話を集中して聞けるのは5分くらいが限界なので、例えば私なら、気を引くために着ぐるみで登場する、どんな野菜が採れるのか想像がつきやすいように実物の野菜を持ってくるなど、言葉だけでなく映像・音楽・紙芝居・絵を活用して、視覚・聴覚・触覚に訴えかけるようにしています。

ほかにも、説明する場所を移動したり、説明の仕方を変えたり、少し高い場所から話しかけたりするのもいいですね。

また、園児たちの中には、多動やコミュニケーションをとりにくいといった発達障害を抱えている子供もいます。たくさんの子どもを相手に指導をする際には、最初からこちらの話に耳を傾けずに動き回ったり、隣の園児とふざけあったりする園児がいたとしても、そのような子供たちには目を向けず、しっかりと聞いてくれているその他大勢を意識して指導を続けることが大切です。

繰り返しになりますが、一番大切なことは、「難しい言葉を使わず、園児が興味を持つような話をする」ことです。

幼児はまだ語彙力が少ないため、説明をする際にはたとえ話をしてあげるとよいでしょう。肥料(追肥)の説明であれば、「皆もお腹が減るとご飯を食べるよね。野菜さんもお腹が減るので、ご飯(肥料)をあげなきゃいけないね。でも皆も食べすぎるとお腹を壊すよね。野菜さんも食べすぎはダメなので、決まった量を決まった時にあげましょう」といった具合です。

ほかにも、水やりについて説明するなら、「みんなはどんな時に水が飲みたくなりますか?」と最初に意見を色々と聞いてあげてから、「毎日飲め飲めって水を出されても困るよね。そうだね、野菜さんも天気が良い日が続いて喉が渇いたときにあげるといいよね。喉が渇いたサインは、土の色が白っぽくなったり、葉が下を向いてきたりした時です。そうしたらプランターの下から水が出るくらいまで、たっぷりと水をあげようね」。このように会話の中に説明を織り交ぜてあげることで、飽きずに楽しみながら学ぶことができるのです。

3つ目は「自分の栽培の得意分野(作物)を生かす」。相談者さんの得意な育て方や作物は何でしょうか? せっかくなので、これまで培ってきたスキルを生かせると良いですね。

私は容器栽培が専門分野なので、牛乳パックで豆苗やミックスレタス、ペットボトルでいちごやえだまめ、発砲スチロール箱でミニトマトやキュウリなどを栽培する方法を教えています。

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