のどかな里山風景が広がる静岡県の中山間地域でバラ園を営んで、30年ほどになります。
ハウス内は冬の間、湿度を維持するために、地面を少し掘り下げて建ててあります。
排水溝も設置していますが、もともと傾斜地に建てていることも影響していて、大雨が降ったときなどには、ハウス内部の土壌を何本も水が流れ、小川のようになってしまいます。
大雨で雨量が増えると、ちょっと目を離した隙に、水浸しになることもあり気を緩めません。
排水を怠るとバラ本体に雨水が飛び散り、葉や枝に黒い斑点のようなシミが出る黒星病が発症しやすくなりますから、湿度の調整には神経質になっています。
現在は地下水路を掘って水を溜め、汚水用のフロート付き水中ポンプを使って水路に排出しています。
ところが先日、8年ほど使ったポンプが壊れました。これまでは電圧100Vのもので、排水量がそれほど多くないポンプを使っていました。
ネットでポンプの商品カタログを調べたところ、種類の多さに戸惑うばかりです。
すでに50代後半で体力も落ちてきているので、できるだけ小型で軽量のポンプがよいと思っています。
できれば手入れが簡単で、長く使えるポンプが欲しいですが、商品選びのコツはありますか?使用時間は長くありません。
(静岡県・相川さん/仮名・50代)
小沢 聖
明治大学黒川農場
水中ポンプに頼らず、傾斜を利用した自然排水への挑戦をおすすめします
たしかに水中ポンプは種類が非常に多いですね。いままで使ってきたものに比べて、性能も上がっていることでしょう。最近はレンタルも増えてきていますので、まずはお試しでいくつか使ってみて判断してはいかがでしょうか。仲間と情報交換するのもいいと思います。
いままで水中ポンプを使われてきたようですが、私は水中ポンプを使わない方法をおすすめします。それは傾斜を利用した自然排水です。最初の工事が大変だとは思いますが、ぜひ自然排水も選択肢として考えていただきたいです。
なぜなら、水中ポンプは水位がある程度上がらないと作動できないので、普段から土壌水分を減らすには限界があります。
ハウス規模、暗渠の深さ、斜面に設置されている状況が詳しく分からないので何とも言えませんが、掘り下げて建てたビニールハウスであれば、なおのこと普段から排水できるような能力の高い暗渠(地下に設けた水路)が欲しいところです。
小型のバックホー(ショベルが操縦席側向きに付いた油圧ショベル)を使って、現在の暗渠とは別に、端から新しい暗渠を設置するのがいいでしょう。暗渠の施工方法はいろいろありますが、暗渠パイプや雨水桝(雨水を排水するための枡)を使った工事は手間も費用もかかります。できるだけ安価で済ませたいところでしょう。
沖縄県宜野座村で見たことがあるのですが、暗渠の充填材(穴や隙間に詰め込んで埋める材料)として、潰したペットボトルをぬか袋に入れて並べる方法があります。とても簡易的ではありますが、うまくいっているようです。なかなかのアイデアだと関心させられました。水中ポンプに頼らず、ぜひ挑戦してみてください。