小型漁船に乗って、シラスを船びき網で獲っています。
漁船で操業する人なら誰もが頭を抱える問題だと思いますが、私も船底に着くフジツボなどの貝に困っています。
フジツボがつかない船底塗料というのをいくつか試していますが、どれも効果が長くは続きませんでした。
漁の仲間に聞いたり、ネットで調べてみたりしても、正直、どれがよいのかわかりません。
効果が持続して、しかも安全性の問題がない塗料はないのでしょうか。
最近は、海の汚染防止にも世間の関心が集まっているようなので、なるべく自然由来の素材で環境にやさしいものを選びたいのです。
どのようなことを基準に選んだらよいですか?特にこれがおすすめ!といえるようなものを教えてください。
(神奈川県・三浦さん/仮名・50代)
大山尊司
株式会社ワールドアクセス
環境に優しく、付着機能の無効化でフジツボを防ぐ商品があります
フジツボの存在は、船を所有する方々にとって本当に頭の痛い問題です。船底に取りつくと、水流抵抗を増やしてしまうので、速度にして10%以上減速したり、燃費でも取りついていない場合に比べて、最大で40%も燃費が悪くなったりします。
通常、フジツボ対策としては、定期的に船底を掃除して付着したものを除去し、新たに付着を予防する機能をもった船底塗料を塗り直しますが、ご指摘のように、大抵の塗料では効果が長続きせず、やがて付着物が取り付き始めます。
これまでの船底塗料は、有機スズ化合物を含有し、その「毒」でフジツボ等の付着生物を殺すという機能を基にしてきました。
しかし、海洋環境に与える影響が問題になり世界的に禁止されると、それに代わる「毒」が研究され、比較的効果が高かった「亜酸化銅」や「酸化亜鉛」が使われるようになりました。
しかしながら、これらも長期的には環境に負荷を与える恐れがあり、その効果も有機スズ化合物より大きく劣っています。しかも、フジツボやイガイ類は幼生時に船底に付着しますが、海域によって幼生の活性に差があります(湾に河川が流れ込む海域で活性が強い傾向が見られます)。
従って、船底塗料の「毒」による防汚機能は、海域によっても効果に差が出ることになります。
弊社では「フジツボガード」という船底塗料ではなく、船底塗料用の添加剤を開発しました。船底塗料に混ぜ、それを船底へ塗布することによって、フジツボやイガイ類の船底への付着を防止します。
従来のように「毒を以て制する」という発想ではなく、フジツボやイガイ類の付着機能を根本から無効化させるという発想で開発されました。従って、海域によって付着防止効果に差が出ることもありません。
海のミネラル成分などを凝縮してセラミック化した自然由来の成分なので、環境にはまったく無害です。塗料が水中に溶け出すことで、特殊表面処理を施した成分が塗装表面に現れ、それによってフジツボやイガイ類の付着を防止します。
船底用の塗料が通常4kg缶で売られているため、それに合わせて4kgの塗料に混ぜるのにちょうどいい量(120g入)で販売しています。