私は福岡県で養殖業を行っている40代です。
最近、女性活躍社会という言葉をよく耳にし、女性が働きやすい環境の整備や管理職を務める女性の割合を増やそうと、社会が動いてることを知りました。
企業も女性が活躍できるよう、さまざまな努力をしているように感じています。
しかし、私たち漁業の世界では、いまだ男性社会のイメージが強く、昔ながらの気質の漁師さんもいるので、女性従業者の人数は少ないと感じています。
確かに、漁師には網を引くなど力仕事もあり、男性向きの仕事が多いと思います。
しかし、同じ第一次産業の農業では、働いている女性もけっこういますし、同じく力仕事が多い自衛隊でも、女性自衛官が活躍しているとテレビで取り上げられていました。
そのため、漁業でも環境と職場の雰囲気が変われば、女性でも活躍してもらうことができるのではないかと思います。
女性の漁師が増えていけば、人手不足の改善にもつながると思います。
そこで、女性の働き手を増やしていくためには、求人を募る際にどのようにアピールをすればいいのでしょうか?
また、職場の環境整備もどのように進めていけばよいでしょうか?
(福岡県・前山聡志さん/仮名・40代)
三木奈都子
一般社団法人うみ・ひと・くらしネットワーク会員
待遇面や家庭生活とのバランスなど、女性に満足してもらえる会社を目指そう
現在、多くの漁業地域で住民が減少して人手不足状況にあり、女性労働力も取り合いになっています。ご相談の「漁業における女性の従業員」といっても、漁業の種類やその中でも海上作業、陸上作業、事務とでは、女性の従事のあり方がだいぶ異なると思います。
社会的には漁業労働は男性という既成概念が強く、肉体的負担が強くない作業で、かつ給与もほぼ男性並みであってもなかなか女性が従事したがらない傾向があるようです。
1990年代には、大分県のまき網漁業の乗組員として、一定程度の女性が乗船していたことがあります。これは、子育てから手が離れた世代の女性が乗組員の夫から要請されて、乗船していた例が多かったようです。
現在、定置網漁には少しずつですが乗組員として女性が参入しているようです。ICT(情報通信技術)の導入による作業軽減も関係しているかもしれません。
地方のとある定置網経営者は、工夫すれば女性でも十分働くことができる作業があるので、地域で女性も働ける職場であると理解してもらえるように徐々に改善していくとのことでした。
女性たちは、当然、他産業の仕事の条件と比較して漁業従事の募集を見ます。給与条件や待遇、労働時間帯と家庭生活のバランス、子育て支援、意思決定過程に関与可能かどうか(おじさん支配的な会社かどうか)、周りの人に話すときに誇れる会社かなどです。
「女性活躍社会」推進政策下で、男性に好都合なように女性が勝手に活躍していくわけではありません。活躍してもらえるよう女性を育て、彼女たちが会社に満足すれば、当然、周りの人にも伝え、口コミで女性従業員が増えていくことと思います。